山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ワシ、虎に出会う

まー、SILVER STARはそんな感じで。
「女の子が持つには丁度いいギターかな?」という印象。
見た目が綺麗で音もそこそこ良い。
同程度クラスの(今の楽器店で普通に売っている)フェンダージャパンのストラトより確実に良い感じ。
ところがココで店長が、
「もうちょっと値段は張りますが、コッチのギターも良いですよ」とカウンター近くに
架けられているギターを指さす。

木目が見えるボディに黄色がかったベッコウ柄のピックガードがついた「ちょっとヤボったいギター」だ。
「垢抜けないもっさりとしたギターだねえ」というのが第一印象。
すると長女、「私、コレ、好きかも」と言うではないか。

「モノのついでだ、持たせてもらいなさい」と、そのギターを抱えさせてみる。
ヘッドが釣り針みたいな変な形をしている。
ソコには「Bill Lawrence」と書かれた文字が。

「誰?」

長女、ネックを握りしめて、
「コレ、すごく握りやすいよ」とゴキゲンである。
「重さも軽いよ!」と気に入った様子。
「どんな音がするのか、弾いてもらっていいですか?」と言うと、店長、試奏して遊んでいた
ギターキッズの一人にそのギターを渡して、
「ちょっとコレ弾いてみて」と言ってくれる。

ギターキッズ、シールドを繋いで軽くチューニングして、
「では」
とちょっとブルースっぽいフレーズを弾いてくれる。

彼の握ったピックが弦に触れた瞬間、盛大にワシの目玉から鱗が飛び出した!
「なんだよこのギター、虎じゃんまるで。君はタイガーそのものだよ。君は虎だったんだね?」
そのアタック感のある男らしい、噛みつくような音。
とても潔い、ブリリアントな音がする。
よくギターマニアの人が言う、「激ナリ」という状態はコレの事だったんですね!?
思わずその音を聴きながら、
「うわー、オットコマエー!!」と感嘆の声を上げてしまうワシ。
するとギターキッズの兄ちゃん、自分が誉められたと思って照れているし。
「あ、いや、そのギターの音が!ね?男前な音だなーと思って」
と、思わず敢えて強調して言ってしまうワシ<基本若い男に興味がゼロなので

「コレは凄い!このギター欲しい!!」とワシ、強く思ってしまう。
何処の馬の骨とも知れないギターなのに、その音を聴いた瞬間、恋に落ちてしまったのだ。
「でもこんな風にして飛び込みの店でイキナリ中古ギターを買う人生って問題があるような?」
不安がよぎった?