山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「狂熱の果て」

最近GYAOで見た映画が思いの外面白かったんで、忘れないように書き残しておきますね。

その映画はこちら↓

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1961年の大宝(たいほう)映画であります。

大宝映画作品って今回、実は初めて見たんですけど、もともとは新東宝という映画会社がありまして。

一時期、ワシ、新東宝の映画にハマりまくってしまって(;^ω^)

図書館のライブラリーで借り倒して見倒した過去があるんですが。

その新東宝が倒産したあと、配給部門を大宝映画として独立させたものなんですよ。

ところがですね、この大宝映画、たった4ヶ月しかもたなくてですね、1961年9月に起業し、翌年の1962年1月には業務停止してしまったという…

そんな会社でございます。

 

もともとも新東宝が「エログロ路線が大得意!」てのもあって(もちろん、ヴェネツィア映画祭で賞もとった「西鶴一代女」みたいな作品もありますが、これは少数)

その遺伝子を受け継ぐ大宝映画、見る前から名作の予感ムンムンでありました。

監督は山際永三…「知らない人だなあ」と思ったら、ウルトラマンシリーズの監督をなさってたお方だそうで(この「狂熱の果て」が監督デビュー作)

確かにそう言えば、ウルトラマンシリーズの中には「もしかして今のはヌーベルバーグ?」と思わせるような演出の回もあったような??

 

この「狂熱の果て」映画としてすごく良く出来てて、「これは…ペロッ…ヌーベルバーグの味わい!?」とすごく驚いたんですけど(実際、1960年ゴダールの長編デビュー作「勝手にしやがれ」を思い出させるような物語の運び方)

本当にこの映画、「幻の日本初のヌーベルバーグ作品」と言われているのだそうです。

 

一応原作があって、「六本木野獣会」のメンバーだった秋本まさみという女性が書いた小説がもとになっているそうです。

六本木野獣会」を知らない若いよいこの皆さんは近くのお年寄りに聞いてみてください。

まあ、富裕層の不良少年少女の集まり(遊び人グループ)ですね。

お金を持っている子どもたちの遊び、喧嘩、犯罪、恋なんかが描かれます。

いわゆる「Les Enfants Terribles」ものですよ(コクトーの「恐るべき子供たち」)

実際にここまでひどい事件が起きたかどうかはさておいて。

恐るべき子供たちがいて、その時代にこんな風に生きていたのだという一種の風俗映画になっております。

 

確かに今まで見た、日本製のヌーベルバーグ作品の中でもダントツに面白かったです。一番近い味わいなのは「くちづけ」(増村保造 1957年)でありましょうか?