山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

不死曼荼羅を見届けに行く 5

とまあ、想像以上に生歌が多かったので、ワシは改めて驚きつつコンサートは粛々と進行してゆきます。

「さすがにここはリップシンク(口パク)やろう?」と思ってるとステルスが歌いだしを間違ったり(;^ω^)微妙にピッチがずれたりして、「…生歌やん!!」と驚愕するというのを何度か繰り返してましたね。

 

実はワシは平沢進のファンに数十年ぶりで復帰するまで、「音楽は打ち込みだし、ボーカルは口パクなんだろうな」と思ってたんですね。勝手に。

だって生歌にこだわる理由が無いと勝手に思ってたんですよ。ごめんなさいね。

 

ところがそれをフジロックの中継で「口パクじゃない!!」と知って腰が抜けるほど驚いてしまったわけですよ。

そうでした、この人は若い頃から一貫して「機械と生身の人間の融合」を目指してた人だったのでした(今更)

 

もちろん、おそらくボーカリストとして最盛期だった50代の頃から比べると、あの頃のような超絶な感じはさすがに薄れてますが、いやいや67歳の現在でもどうしてどうして、素晴らしいボーカルワークでした。

囁き、つぶやき、オペラのように歌い上げながら変幻自在なんなら性別不明にすらなってみせる歌声。

 

そしてそのボーカルのハイライトは13曲め「遮眼太師」にやってきました。

ローディーから光る球がついた長い釣り竿のようなものを渡されて、それを優雅に構えながらステージ上を練り歩く(;^ω^)ステルス。

「なんだー?」と見ると、例の「全天球カメラ」が竿の先に装備されてます。

「撮影しながら歌うつもりか」と見てたら、ステルスが超ノリノリでこの激しい曲を歌っておりまして。

「67歳のマントラ砲が来るのか!?」と思わず身構えたら、来ましたね。

ちなみにポーズはコレでした↓

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マントラ砲を口から発射してるときの表情はコレと同じでした↓

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もう嬉しいやら驚くやらで興奮してしまって、両手を高く掲げて力いっぱい拍手してしまいましたw

そしてこのコンサート終盤には「TOWN-0, PHASE-5」が演奏されるに至って初めてここでワシは、

「あ!このコンサートはPhononシリーズの一環だったんだ!?」と気がついたのです(平沢進は自らが考案したインタラクティブライブとインタラクティブではない通常のライブシリーズPhononを並行して執り行っている)

 

レルレさんのドラムが入ることで、エレクトリックな楽曲たちに新しい息吹が加えられていきます。

生命力が宿ると言うか、生き生きと飛び跳ねて活力に満ちた印象になるのがすごく聞いてて楽しくて、満たされましたねえ。

フジロックもこのメンバーで参加するわけですし、もしかしたらしばらくはこの形態で活動を続けるのかもしれませんね。

若いドラマーが入ることですごくプラスの化学変化が起きたように思います。

 

最後に披露された新曲もとても若々しいと言うか、若い人を励ますような曲に感じました。

「ステルスも新しいフェーズに入ったのかな」と思わせるものでした。

いよいよ近日中に発表されるであろう新譜への期待が高まりました。

 

会場も演奏内容も素晴らしかった。こんな一生残るような素敵な経験をさせてもらって、ステルスには感謝しかございません。

こんな戒厳令下みたいな大阪で素晴らしいコンサートをやってくれた。それだけで歴史に残る偉業ですよ。

ワクチンがまだ行き渡らない世の中で、いかにしてコロナと共存しつつ経済を回すのか。その一つの答えがここにありました。

観客も素晴らしかった、言いつけを守って口を最後までつぐみ続けたったの一声すら発しなかったのですから。

素敵な夜を本当にありがとう。演者スタッフ関係者、観客、みなさんに感謝感謝。

 

(終わり)