山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」

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「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」

96分 2011年フランス

1959年5月、カンヌ国際映画祭で、一本の映画がセンセーショナルを巻き起こす。一躍ヌーヴェル・ヴァーグの名を世界に知らしめたトリュフォーの『大人は判ってくれない』は、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。そしてすぐにゴダールが『勝手にしやがれ』を発表。ヌーヴェル・ヴァーグの評価は確固たるものとなり、ふたりの友情も映画とともに永遠に続くかにみえた。しかし1968年5月革命の後、歴史と政治がふたりの仲を引き裂いていく。(C)Films à Trois 2009 

ジャンル ドキュメンタリー
監督 エマニュエル・ローラン
主演 フランソワ・トリュフォー, ジャン・リュック・ゴダール, ジャン・ピエール・レオー


ドキュメンタリー映画なんですが、色々知らなかった事もたくさん出てくる(^_^;)勉強になりましたーw
ヌーヴェル・ヴァーグ」がお好きな方は見て損はないかもー。

ワシはゴダールトリュフォーも他の一連のヌーヴェル・ヴァーグ派の監督も好きなので、とても興味深く見ました。
最近亡くなったフランスの女流監督アニエス・ヴァルダの映画「5時から7時までのクレオ」もこの映画中で紹介されるのですが、この「5時から〜」には映画中には撮影されている別の映画が出てくるのです(劇中劇みたいに)
そこに出てくるのがゴダールアンナ・カリーナ無声映画風の喜劇を演じているのですが、これは現実の二人の出会いと結婚?を再現したものだとかなんとか。

この手法は実はヌーヴェル・ヴァーグと呼ばれた映画群の中で繰り返して用いられた手法でして。
それは「映画で現実を盗む」という、実際に起きたことを映画中で再現するという手法みたいですね。

でもまあ、最初にこそ万人にこぞって迎え入れられたヌーヴェル・ヴァーグという芸術運動?もいつしかお客さんが入らなくなり。
人々の好みや価値観が変化してきたところにパリの5月革命が起きて。
その前から思想的に真っ赤っ赤に染まってしまったゴダールは、ひたすら映画愛を自分の作品で描き続けたトリュフォーに向かって「このブルジョアめ!」と罵倒するんですな(ワシとしては「それはゴダールのことやろ」と鏡を差し出したくなるのですが)

かつて盟友として肩を組み、助け合って歩みをともにしてきた20年間を清算して、偉大なこの二人の監督はその後二度と会うこともなかったとか…
困ったのは「大人はわかってくれない」でデビューし、ゴダール作品、トリュフォー作品両方の映画に出続けてた俳優のジャン・ピエール・レオですよ。
「二人の離婚した父(※ワシ注=「両親」じゃなくて「父が二人」なのがこの話のミソ)に腕の引っ張りあいをされた」と回想します。

時代というものに引き裂かれた二人の友情。
興行的には失敗続きだったヌーヴェル・ヴァーグという芸術運動(でも今見てもワシ的にはとても好き トリュフォーとかアニエス・ヴァルダとかジャック・ドゥミとか←ゴダールは!?)
その誕生から死までを見届けるドキュメンタリーです(個人的にはとてもおもしろかった それまで優れた芸術作品を作ってきた人がある時を境に赤く染まって発狂するってのは今もよくあることなので)