山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「WHITE INCARNATION」全曲レビュー7

11.GOOD NIGHT

この素晴らしいアルバムの幕引きの曲。
軽めの楽しいラブソングですがその歌詞は、「帰り道は怖くないよきっと」って送って行けない(行かない?)彼女に対してエクスキューズしているという歌なんですな。
「そんな、男だったら自分の命に替えてでも最後まで女を送っていかんかぁーい!女を夜道に一人で歩かせるなーー!!」
という気持ちになりますが。

ま、コレもSFですのでw

彼女はココで危険な目に遭うわけもなく、勿論、彼が送り狼にいきなり変身する筈もなく。
二人は少し昔のアメリカ映画みたいに(それこそジェイムズ・スチュアート主演のロマンチックコメディみたいな雰囲気で)スマートにクリーンに別れます。
決して別れ際にディープキスなんてしません。
おそらく「おでこにチュー」くらいはするかもしれませんが、ココでは「握手」でお別れの挨拶をするような間柄です(妄想)

お洒落なジャズ調の楽曲に乗って、ドヴォルザークの「家路」(交響曲第9番第2楽章)の旋律が紛れ込ませてあったりして可愛い楽しい一曲。

「家路」と言えば、ウチの近所でも午後五時になると、町内の防災無線からこのメロデイが盛大に流れて、近郷近在の小学生(サル)どもに、
「おうちにかえりなさぁ??い」と知らせるのですが。
この曲でコレが使われているのも、彼女に向かって「おうちにまっすぐ帰りなさいね」と教育的指導をしているのか、それとも彼女と別れた後、
「さ、俺も早く家に帰ろう」と鼻歌交じりで家路を急いでいるものなのか?(だったら送っていけやー!)それは不明であります。

しかし、彼女を送る事よりも大事な用事って何なんでしょうね?
まさか、この歌の主人公の「僕」が地球防衛軍のメンバーだとか…?
彼がいないと地球が爆発するとか??
と、言うのがワシが「この作品もSFである」と主張する所以ですw

そういえば、ドヴォルザークアメリカで黒人霊歌に触れて一連の作品を作ったんでしたっけね。
と、言う事は。
ジャズ色が強いこのアルバムにこの旋律が紛れ込ませられててもなんら不思議はないはずで。
むしろ、「音楽的な冗談」として見ても面白い&洒落てますな。

総評としてはこのアルバム、デビュー二作目にしてピロウズ第二期が既に始まっていた事を証言する作品です。
楽曲、演奏ともにクォリティ高し。
かなりの名盤です。