山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「トライアル」 感想 その2

04.Flashback Story
「ブ、ブライアン・セッツァー!?」と思ったこの曲w
ま、ま、まあ…さわおの言うところの「ロックンロール」なんですけどね。
シンちゃんのスイングするドラムのお陰ですごくロックでカッコイイナンバーに仕上がっている気がします。

それと、特筆すべきは真鍋代表(ぴぃさま)のブルース風味ロックンロールのギターソロ
これには一番びっくりしましたねえ。耳を疑いましたw

なんせ以前は「ロックンロールがワカラナイ」と公言してはばからない人だったのに、この曲ではかなり上手にブルースギター風のロックンロールを弾いているんですよw

やれば、出来るじゃん…ボソッ…

ピロウズでこんな曲が聞ける日が来るなんて。
「Rookie Jet」の指板の上を上下上下にウロウロしてたギターソロからは隔世の感がありますね。
(いや、アレはアレでヘッタ糞なロックンロールギターのチャーミングさに溢れてて微笑ましいんですけど<あばたもえくぼw)

05.エネルギヤ
この曲もこのアルバムに入っててくれてよかったですねー(シミジミ)
ほぼ、ラブソング成分ゼロのアルバムなのでねー。

過去への未練としか思えない曲であったとしても、ラブソングには間違いない。
そしてこの曲、ベースラインがすごく素敵なんですよね。

06.ポラリスの輝き 拾わなかった夢現
なんか、こんな曲があるのがピロウズのいいところですよね。
ワシはよく、「さわおはロックミュージシャンになってなかったら、絵本作家になってたんじゃないの?」と言うんですが。
その面目躍如の一曲。

あっけらかんとした孤独感が色数の少ない絵本になって目の前に差し出されたような、そんな感慨が湧いてきます。
ギターソロも優しい、心地よいギターソロでこの歌の主人公の心を、その歩みを慰めるように歌っております。

07.Minorty Whisper
この曲ではさっきまでのあっけらかんとした孤独な感情とは一転した「さわおの告白」が始まります。
幕開けは静かに、心情の告白に始まり…

サビに入る前、どんどん感情が高ぶってきて、いよいよサビに突入したら感情が爆発。
転調からの悲しみを振り絞るようなメロディが実に素晴らしくて、「さわおのメロディメイカーぶりの本領発揮中!」になります。

ともすれば、90年代のヒットソングみたいな下世話な旋律が、この瞬間に、
ただごとじゃない空気をまとって、何故、この曲を英語で歌わなければならなかったかの意味が少しわかった気がしてきます。

素直に自分の悲しみを吐露するさわおの姿に思わず、
「苦しんだんだね…」という気持ちが湧いてきます。
そしてその苦しみは自分にも憶えがあるものであったと感じるのです。

震災〜原発事故、その後に起きた色々なこと。
自分の無力感、TVで見たものに感じる違和感、焦燥感、行動を起こす人たちへの共感、反感。
日本人がまさに「(何かに?神様に??)試されている」と感じた日々の気持ちをとても素直に楽曲にしてあると、感じました。

ギターの音はいよいよ第一期風で、ちょっと神経質な、それでいてよく通るトーンでまるで第一期の楽曲についていたかのようなソロを奏でます。
確かに、彼らの世に出た曲も終末感の漂うこの地上で苦しみもがく人々を描いた曲でした(「STAND UP AND GO」)
ワシは震災の時、思い出したのがまさに、この「STAND UP AND GO」だったんですけどね…

でも、あれは想像の世界。
3・11はまさに現実。それがほんとうに辛い。

08.持ち主のないギター
そしていよいよ悲しみはMAXに達して、さわおの心は死の世界に迷い込みます。
冷たい、誰もいない世界。
町は墓標で埋め尽くされ、まるでそこにいることは何かの罰のように、たった一人生きている人間としてさまよう歌。

この曲を最初に聞いたのはさわおソロの弾き語りで…でありまして。
この曲を最後に歌う前に、「この曲を聞いたことを後悔させてやる。モヤモヤした気持ちのままで今日は家に帰れ!」とお客に言い放ったさわおに失笑したものの。
そしたら本当にこの陰々滅々な曲で終わりにしやがって()

「こ、この気持でどうやって家に帰ればいいの!?こんなイキナリ、フォローもなしでほっぽり出されたみたいになっちゃってぇ〜〜〜」
みたいな顔して観客が全員、ポカーーン( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)( ゚д゚)とした表情になってしまって…w
シーンと水を打ったみたいな状態のままでしばらく過ごして、やがて正気に戻りwぞろぞろと三々五々に家路についてたのが、非常に印象的でしたね…

「いや、さわおが苦しい気持ちなのはわかるけど(当時はまだ震災&原発事故の記憶も生々しい6月下旬だった)、本当にこの曲をピロウズでやるの??曲っていうか、コレは純粋にさわおの嘆き悲しみそのものじゃん…曲にちゃんとなるのかしら??ピロウズの音として全然想像ができない…」
と思ったのが本当のところです(ワシ)

ところが、まさかのピロウズの音!!

いやもう、ビックリだわ。
アノ曲(失礼)がこんなレディオヘッド風に仕上がるなんて。

確か震災以降パッタリと曲が書けなくなって。
最初に書けたのがこの曲だったのかな?
曲かどうかもわからないテイの非常に暗い悲しい歌、恐ろしい歌という印象で。
さわおがソロで

「忘れたはずの歌、蘇って、僕を攻めるように素晴らしい」

と歌った時、「どんな歌なんだろう?」とワシは想像も出来なかったのですが。
ちゃんと曲になるっチューのは凄いことですね。
この部分に呼応するようにぴぃさまのギターが歌ってくれるおかげで、その「蘇った歌」がどんな歌なのか?
ちゃんと想像できるようになっております。

怒りと悲しみを含んだこのフレーズが繰り返し奏でられれば、そのフレーズはそのままソロにつながり。
泣かないさわおの代わりに存分に悲しみを歌いあげてゆきます。
こんなにギターが泣いているのはピロウズ史上初かも…そもそも泣かないギターを弾く人なので>ぴぃさま

そしてさわおの悲しみはいよいよ大爆発。
さまざまな告白の後、さわおは「いっそ(自分を?)消し去りたい」とまで歌うんですね。

その後に続く「あ〜〜!」という絶唱はまさに、「ストレンジカメレオン」以来の嘆き悲しみの表現。
すべてを諦めて、この曲は終了します(でも終わり方がとてもキレイ)

09.トライアル
氷の世界からピロウズが立ち上がってくる力強いイントロ。
メロディも素晴らしくて、歌詞も素晴らしい。
ピロウズがここまでやるなんて( ;∀;)3.11以降の日本人を励まし、勇気づける歌ですね、コレは。

魂の遍歴の果てにピロウズが出した結論がコレって素晴らしいと思いませんかみなさん!!

しかも立ち上がるきっかけが「悲しいよ」っていう誰かの綺麗な涙であり、過去の自分であり…という部分が本当に素晴らしい。
まるで神様に試されているみたいに、コレでもかコレでもかという恐ろしい体験をした日本人。
二度と見たくないようなものを散々に見せられて、「もう終わりだ」と何度思ったことか。
自分もいっそ死んでしまったほうがどれほど楽だった事かと何度感じたか。

そしてこの曲もベースが素晴らしいですね(鈴木淳、GJ!)まるで鹿島さんみたいだ<コラ

もっと生きたい。
よりよい日々を取り戻したいと願う人々に寄り添う歌ですねコレは。
まさか、ピロウズがこんな歌を作るとは思ってなかったので非常に驚きました。

「世間は世間、自分は自分」というペースの人なので>山中さわお
まあ、それだけ衝撃的な出来事だったわけで…
でも、ワシ的にはこんな曲が出てきてくれて救われた気がしました。
「そうだよ、何度だって立ち上がってみせるよ」と素直に思いました。
心に響いたよ。

10.Ready Steady Go!
DVDの「WE ARE FRIENDS」を先に見たせいで、この曲がDVDの最後に流れて、ワシはびっくりしてひっくり返ってしまいましたよw
「ど、どうしたピロウズ!?ハッキョウしたのかついに??」
とまで思いました正直w

ミュージカルの終わり方っつーか。
「お楽しみいただけましたでしょうか?ピロウズ、これからも精進しながら皆様に一日でも長く良い音楽をお届けする所存でございますので、どうぞこれ以降もご贔屓にお願いいたします」
というアナウンスに乗って流れてきそうな音楽で。

そしてここでもまさかの、ぴぃさまのロックンロールギターソロが聞けるんですねえw

多分ね。
ジャズアルバムの「ザ・タイムマシーン」に「現代日本語ロックのギタリスト現役代表」として参加した事(そしてしょっぱなのギターソロを任されたこととか)が大きかったんでしょうね。
それと、アメリカでは一端のギターヒーローだしw
「おう、ロックでもジャズでもクラッシックでも来やがれ」て感じになったのかな?
もともと、ギタリストとしての自分以外は自信なさ気な所が伺える人なので…まあ、自信がついてよかったんじゃないですかー?<このヒトゴト感w
芸域がこの年で広がるなんて羨ましいです。

次のツアーからはこの曲が最終曲になるのかな?
バスターズ!」ってみんなで叫びたいね。
怒髪天の「セバ・ナ・セバーナ」みたいに。