山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ありがたや

そんな暖かい世間の人情を、殆ど感じる事無しに死んで行った義弟が不憫で仕方ない。
世間に背を向けて、本人なりに(あくまでも本人「なり」に。世間の価値観とはかなりずれまくっていたが)真面目に生きていた筈なのに、何も良い事が無かった人生。
あまりにも可哀想で、義弟の面影を思い出してはハラハラと涙を流す。
そして手を合わせて「南無阿弥陀仏」と唱える。

そうやってシクシク泣いていると、またしてもドッカらともなく救援の手が差し出され、それに甘えてそのご親切な申し出をホイホイ受けてしまうワシ。
本日は僧籍にある知り合いのお方が、「自分のお寺で四十九日間、弟さんの為にお勤めをさせていただきたいのですが」とわざわざ申し出てくださった。
あまりにもありがたくて、思わず伏せて(倒れ込んで)ワアワア大声をあげて泣いてしまう。
浅いつきあいで、本当にそんな事をしていただけるような所以も義理も無い方なのに。
申し訳ないやらありがたいやらで、大いに泣ける。

一応、そのお申し出はありがたく受けて(<人の親切は素直にありがたく受ける性格)、戒名はつけてないので、生前の名前と命日をお知らせしてから気がついた。今日は丁度、義弟の初七日であった。
しかもその申し出てくださった方は同じ浄土宗のお坊さんで、なんだか全てが符合する感じがした。
「うーむ、コレが阿弥陀様のお導きというヤツか?(ヤツ呼ばわり不謹慎)」と思う。

ダンナは今日も朝から毎日90キロ先に出かけて行って、立ち退きの立ち会いやら戸籍謄本集めやらに奔走している。
仕事の進行具合をケータイで連絡入れながらチェックしていたら、やはり廃品回収の業者さんが悲鳴を上げている事が判明。
義弟の家は、言わば「ものすごーーく綺麗に片づいたゴミ屋敷」という感じで、一見、荷物はまとめられて整理整頓されているので、「そんなに分量は無いかな?」と思えるがドッコイ。
掘っても掘っても後ろはビデオテープの山?♪前はDVDディスクの海???♪であるので、片づけているうちに気力がドンドン萎えてくるという「魔窟」であるのだ。
なので、業者さんが見積もりに来て、「6万円でお受けしましょう」と言ってくださった時はありがたくて泣けた。
だってワシだったら6万貰ってもこの家の片づけなんか絶対嫌だもん!(物が膨大にあり過ぎて)
業者さん、ダンナに「こんなに見積もりを見誤ったのは初めてです」と告白したらしい。