山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

渡る世間は鬼ばかりでナシ

トカナントカ、息も切れ切れになりつつ、どうにかこうにか納骨の日を迎える。
もう一切の葬儀は無し。納棺式だけ済ませてそのまま焼き場へ行き、自宅へ遺骨を持って帰り、仏壇に置いて供養し、コレを葬式の代わりとする。
もう四十九日もぶっ飛ばして、早々に納骨する事に決めた。
とにかく、ワシら一家、ダンナ方はもう残っている親戚といっても80歳オーバーのおばあさまがただけで、とてもじゃないが頼りには出来ない。
(現に、「亡くなりました」の報告電話だけで、そのまま逝ってしまわれそうになられていた…お年寄りに心痛を与えてしまって申し訳なかった)
残された部屋の整理&処分、故人宛の郵便物のチェック書類のチェック、その他モロモロ(未払いの様々な料金等)がワシら夫婦の双肩にガッツリと乗っかっている訳で、しかも亡くなった状態が状態だっただけに、とても四十九日も故人の面影とつき合ってらんない…というのが本当の気持ちでもある。

ダンナは、ワシが横で残された書類のチェックをしながら、「バカじゃねえの?」「この書類の意味、わかってやってんのかよ!?」と怒号を飛ばしてボスボス空き箱にケリを入れているのを見ながらなんだかガス抜きが出来ているらしい。
ダンナが心の中では思いながらも、「何故?どうして?」と堂々めぐりの悲しみの沼に沈んで行きそうになるのを寸での所で、ワシが全部言葉にして、怒鳴り散らしながらバスバス回りのものを蹴飛ばしているので、「なんだか笑えてくる」らしい。
「アンタの性格ってホント、面白いなあ」と笑っている。

いや、勿論、ダンナだって物凄い悲しみと怒りに燃えている訳であって。
それを我慢しちゃう人なんで、ダンナの代わりにワシが全部言語にして、ハッキリと発声して、順序立てて理屈攻めで怒って見せる訳。
するとダンナも「そうだよなあ」と納得してなんだかスッキリするらしい。

今回の事では本当に様々な人に助けられた。
それが殆ど、「赤の他人」という所に「人の世の情け」を痛感する。
身を粉にして義弟の消息を聞き込みに回ってくれ、親戚でも無いのに焼き場まで付き添ってくださったNさん。
「書類の事は全部任せてください」と持って帰ってくれた税理士のMさん。
「何か力になれたら」と暖かい荷物と私が17年前彼女に送った言葉をそのまま今の私に返してくれたIさん。
みんなみんなアリガトウ。みんなのオカゲで生きてられます。