山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

地震の爪痕・弥生式甕棺・海が怖いボイス

梅雨らしい分厚い灰色の雲に空が一面覆われている。
風も涼しくて快適なので、「じゃあ、久しぶりに南の海目指して歩きますか」とボイスと散歩に出る。
走れる場所はなるべく走って、ボイスとトコトコ海を目指す。

家から山道を下りる間はずーっと走って行き、この前の地震で崩れた崖につい一昨日ショベルカーが入って、グズグズに崩れた部分を綺麗に削った場所を通る。
削った場所ではツヤツヤに赤土が光っていた。
「そう言えば、以前こんな崖を見た時に、崖の途中に甕棺が埋まっててびっくりした事があったっけなあ」と思い出す。

珊瑚を拾った場所に近い山の中に以前、造園会社の植木置き場があって、そこに工事が入った時にその横の小山ののり面をショベルカーで削ったら、丸々とした茶色の甕棺の横っ腹が姿を現したって事があったのだ。

そのスベスベとした弥生式の甕棺の質感が素敵で、ボイスの散歩をしながら何度もその「半身だけ顔を出している甕棺」を見上げては(地面から3メートルほど上の地点に横っ腹が出ていた)、「あぁ、アレが欲しい」と真剣に思ったものだった。
するとすぐさま町の調査隊が入ってしまって甕棺も無事無傷で掘り出され、ドッカに持っていかれてしまったっけ。

川沿いの遊歩道を通って途中から農道に入り、林の中を抜けてため池の横をすり抜け(ホテイアオイの花が満開で紫色一色。綺麗!)、自動車修理工場の裏手を抜けて料亭の前を通り、バス通りを渡って海岸に出る。
漁師さんの家の軒先に、真っ黒なビーグルの子犬が長いリードで繋がれていた。

そのまま砂浜に下りて走り始めたらメスの老犬(MIXちゃん)を連れた散歩中のおじさんと出会う。
「犬を泳がせたらイイよ!水は冷たいけど、犬は気持ちいいみたいよ」と言われる。
ボイスが海でも泳いでくれたらイイんですけど(--;<ボイスは波が怖くて海で泳げない。池や川で泳ぐのは大好きなくせに。
海でも岩の中に溜まった潮だまりで泳ぐのはスキなのだが。

そのままボイスとわっせわっせと砂浜を走りヤンマーのボートの工場の前で道に戻り、そのままお寺の前を通りぬけて古民家を改修して営業しているイタリアンレストランの前を通る。
するとこのレストランの母屋の屋根の一部が割れているのが見えた。
まだまだ地震の爪痕は沢山残っている。