山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

この厳しい自然と生きるシアワセ・せちたろー誕生日

曇り空の下、ボイスとロングロング散歩に出かける。
昨日は大雨で散歩に行けなかったもんね。
リードをひいて西の海岸を目指して歩く。

松原(某tak●さん@苔ハンターが「ココに小屋立てて住んでも良いかしら!?」と感極まって叫んだ、「苔と緑の楽園」な場所)を抜けて海へ出る。
松原を抜ける寸前、風が強いせいか、耳を聾するばかりの凄まじい潮騒が聞こえる。

砂丘の上に出ると、海は荒れ狂い、銀色に鈍く光る波が泡立ち、砂浜に襲いかかっていた。
砂浜に降りると、見渡す限りヒトケはない。
1kmほど南側の海中にサーファーが一人だけ。コレだけ良い波が次々に来ているのに、さすが平日。
っていうか、「サーファーも命は惜しい」らしい。

波打ち際を歩く。
ボイスのリードも外す。
ボイス、嬉しいらしく、ワシの横を走り抜けながら顔がニコニコ笑っている。
風に髪の毛が煽られ、頭の地肌を強風が吹き抜けてゆく。脳味噌が冷える。
北側の岬の先にある山の頂上に雨雲が引っかかって、灰色にけぶっている。雨らしい。
ボイスは砂の匂いを嗅ぎ、松の木の根本の匂いを嗅いだりして忙しい。
砂浜には打ち上げられたハリセンボンとハングル文字のペットボトルが多数。

突然、大波がうち寄せてきて逃げ損なう。右足が波に洗われてしまう。靴下までビッショリ。
潮が満ちてきて、折りからの強風で高波が時々襲ってくるのだ。
少し怖くなってボイスをリードに繋ぎ、一緒に砂丘の斜面を歩く。
見渡す限り誰もいない。この空と海の中で二人っきりなワシとボイス。二つの命。

北側にあった雨雲はやがてこの海岸上空に近づき、冷たい霧雨となって頬に降りかかる。
このゾッとするくらい厳しく猛々しい自然に抱かれて、ワシのココロは初めて平安と自由を感じた。
たとえ世の中に何が起きてもこの場所は、いつも荒々しく、美しく、ヒトを寄せ付けないままココに厳然として在る。
ソレは実はワシのココロの支えでもある。

夕方、せちたろーの誕生日を祝って幼稚園の時のお友達(小学校は違う)がプレゼント持参で駆けつけてくれる。ソレも5人も!
せちたろー、大喜び。
プレゼントも貰って満面の笑み。「アタシは幸せ者だぁ?」とせちたろー。
「今年の誕生日は普通に学校もピアノもある日だから、絶対退屈で特別なイベントは無い寂しい誕生日と思っていたのに、こんなに特別な一日になって嬉しい!今日の誕生日は一生忘れないわ」と言った。