山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

堀内正和氏、井上孝治氏追悼

先週末、彫刻家の堀内正和氏が亡くなった。
彼によって初めて「前衛彫刻のオモシロサ」や「モダンアートのユーモア」みたいなモノを教わった。

彼のジグザグな生き方はそのままカレの奥深い人格となり、魅力となり、本当に素敵な人物であった(当然彫刻家としても、「世界最高峰の人物のひとり」と、ワシは思う)
ラテン語古代ギリシャ語を自在に操り(しかも、若い頃に結核で入院していた時期に独学で収得)、その博識さや情熱や芸術に対する深い愛情、ヒトに対する優しさなんかが強い印象をもたらす、本当の意味で「傑出した人物」であった。

ワシはラッキーな事に、結構人生の要所要所で「素晴らしい男性」に巡り会ってきた(「恋愛」という意味でなく、ホントに「出会ったダケ」、しかも皆さんジジイ揃い・・・じゃなかった「お年を召した方ばかり」)
ソレがワシの人格形成に影響を与えている気もする(オコガマシイ?)

そのうちのお一人である、堀内氏が亡くなった。
ニンゲンであれば、いつかは来るお別れである。
五月に東京駅のステーションホテルで「お別れの会」が執り行われるらしい。
その日時は忘れないように、東京方面に向かって合掌しておこう。

今朝の朝刊に、写真家の井上孝治氏(「別館*山麓庵」を参照のこと)の新しい写真集が出版されるという記事が載っていた。
近日公開される邦画でも、「夫を亡くした聾唖の写真館の女主が尊敬する写真家」として登場予定らしい>井上孝治氏。
この井上孝治氏とワシの出会いも「淡いが強烈」な出会いであった。

今回の写真集は「子供達がいる風景」というタイトルで河出書房新社からの出版(¥2900)
つまり、ようやく全部のネガフィルムの発掘が終了したという事なのだ!
息子さんの一(はじめ)さん、ご苦労様でした。
21000枚ものネガフィルムから厳選された写真は、きっと素晴らしいモノでしょう。

京都での写真展の開催予定もあるらしく、死後も彼の評価は高まる一方。
「知らない」「まだ見たことナイ」という方、一度写真展を見て下さい。
熱い感動の涙を約束しましょう。
写真が目の前のアナタに語りかけてくる、そんな不思議な体験を約束しましょう。
(何故、そんな膨大なネガフィルムが死後も発掘されるのか?井上孝治って誰よ?と思われた方は、「別館*山麓庵」の「続・風雲!別府通信の巻」「井上孝治氏の事・追記」をお読みください)