山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

人に家に歴史あり

陶芸教室でTさん(元・バリバリの営業ウーマン、アマチュア劇団女優の過去アリ)に日記に書いた「葬式料理の話」をしたら、さすが。
彼女は「両方ちゃんと」知っていた。
「とろみのあるお吸い物」も、「呉汁」も。
「北九州では一般的な葬式用精進料理」なのだそうだ(とろみ付き吸い物の方)

「コレは『だぶ』って言う名前なのよ」と、Tさん。
「え?一週間お試し下さい。砂漠かハニワみたいだったお肌が、有田焼みたいにツルッツル?」と、ワシ(←バカ)
(佐賀出身の友人もそー言えば「確か、『だぶ』だか、『どぶ』だか言う名前だったような??」と言っていたわ)

「ウチは元々津屋崎(玄界灘に面した港町)の出身だけど、戦前は折尾(北九州)で醤油屋をしていたの。でも、炭坑に手を出して財産を失い、香椎(福岡市東区)に逃げてきたわけ。そこで何度も『だぶ』を食べたモノよ」と、Tさん。
すると、隣席にいたHさんが「ボクの先祖は作り酒屋でした」と言い出す。
「で、戦争中に朝鮮半島に渡って事業に失敗して終戦前に本土に引き上げてきました」
・・・人に家に歴史あり。

ワシの実家の母方の一族も明治維新後、(武士だったので)リストラされ、「作り酒屋」になってみたモノの失敗して「家が傾き」(商売が下手だったらしい)、戦前に警察官になって朝鮮半島に渡った。
今の平壌の郊外に住み、終戦を現地で迎え、侵攻するロシア兵に追われて命からがら引き上げてきた人たちだ。
・・・とりあえず、生きて帰ってきてくれてヨカッタ。
ワシはイナイところだったよ。
人に家に、以下省略。

そんな実家母から電話。
「アナタの最初の出産の時に、万が一何かあったら(って何だ?)イケナイと思い、入っていた保険が満期で下りるの。お金を受け取るのに住民票がいるから、送って」とのこと。
「ワカッタ。送ります」と言って電話を切ると、ダンナが「でもその満期のお金は、キミには入ってこないと見た」と言う。
ワシもソウ思うよ・・・・今まで何度か満期は来たが、「一度として貰ったことはナイ」しな。

すると、ウチにも郵便局の定額貯金の「満期のお知らせ」が来た。
せちたろーの出産の祝い金を貯めておいたモノだ。
2年前、ピアノを買うときに1/3下ろした、その残り分。
結構な金額になってて、オドロク。
「昔の利率はホントにヨカッタのねー」
思わず、遠い目になった。