山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「オッペンハイマー」

と、言うわけで。

昨日は大雨と雷の中、映画「オッペンハイマー」を見てきました。

予告をどうぞ↓

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正直…この予告から受ける印象とはまるで違う内容でした(゚∀゚)

この予告からだと、この映画「オッペンハイマー」とは、「一人の天才物理学者が原子爆弾を開発してしまった故に受ける栄光と挫折の物語」という予想を持ってしまうと思うんですけどね…

 

全然違ってました!!(゚∀゚)

 

あのね、オッペンハイマーってすごいキャラクターなんですよ。

自分の恩師を毒殺しかけたり、なんかモラルとか完全無視して下半身の赴くままに女と付き合ったり。

破天荒と言うか、正直、正気の人じゃないんですよ。はっきり言えば「狂気の人」なんですよ。

で、その狂気の人が、学者の間での競争意識とか、世間から要求される原子爆弾の開発とかに身を投じるんですけどね。

その途中で、本当に些細なこと。取るに足らぬ些細なことで一人の人の「恨み」を買っちゃうんですよ。

そのために足元を掬われて、圧倒的な熱狂と栄光の日々から一転し、非常に後半生に暗い影が落とされてしまうというそんな話でした。

 

見て思ったのが。

「なんだコレ「アマデウス」じゃん」

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と気が付きました。1984年のアメリカ映画、モーツァルトとその同時代に生きた作曲家サリエリの物語です。

圧倒的な天才モーツァルトの存在価値がわかりすぎるくらいわかるサリエリが一体、モーツァルトに何をしたのか。

「男の嫉妬って怖いわーー」((((;゚Д゚))))な映画です。

 

クリストファー・ノーランってあんまり好きな監督じゃないですけど(あの落ちに一発かましたれ系外連味たっぷりの監督術がなんとも苦手だった)

ダンケルク」はとてもようございましたね。

無手勝手流の彼の映画術が良い感じで物語にフィットしてて、思わず感動して泣いちゃいましたもんワシ。

 

ま、それでクリストファー・ノーラン最新作を履修しとこうかという意気込みで出かけた次第です。

基本、密室法廷劇だから退屈なんですけど(こらっ)

オッペンハイマーマンハッタン計画に参加し、どちらかというと世間のハミダシモノだったのに、いつの間にかなんだか市長で保安官でみんなのリーダー!みたいな立場になり。

原子爆弾の実験を経て、その強烈な経験により、初めて自分以外の人間の生命に関して考え始める_みたいなお話の運び方が面白かったです。

 

そしてラストシーン。

年老いたオッペンハイマーが幻視する恐怖の風景。

神の裁きはこの光景により彼に下ったのかもしれないというニュアンスを持った終わり方でとても良かったです。

 

それだけにあの「バーベンハイマー騒動」は何だったのか?と困惑するわけですよ。

少なくともこの映画を見れば、オッペンハイマーに課せられたスティグマは未来永劫消えないわけですから。

アメリカ人って本当にこええええええと思った事でしたよ。