山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

オテサーネク 妄想の子供

Amazon Prime Videoで配信されてたので、ついうかうかと見てしまいました(゚∀゚)

お題はコチラ↓

ja.wikipedia.org

チェコのコマ撮り職人監督ヤン・シュヴァンクマイエルによる実写長編映画であります。

(ワシ的には)コマ撮りアニメーション作家としての印象が強いシュヴァンクマイエル監督ですが、シュールレアリストのアーティストでもあり、その方面の作品も多数あるそうです(伝聞)

この「オテサーネク」は民話に題材を取った「人食い木」の物語です(ホラー)

子供がほしいあまりに、何を見ても(魚屋さんの生け簀の魚を見ても)赤ん坊に見えてしまうほどの極度の神経症になってしまった妻。

その妻を慰めるために、掘り出した木の根を赤ん坊に見立てて、与えてしまうその夫。

 

本当に誰も悪くないのに(妻が心を込めてお世話したから?)、その木の根にはいつしか命が吹き込まれて、その旺盛な食欲を満たすためにいろんな食べ物を与えるのですが、木の根は全然食べたりずについには人間を食べ始めるという物語です。

 

その子供がほしいあまりに狂気に至ってしまった夫婦の周りの人たちも面白いんですな。

同じアパートのおせっかいな近隣住人。

何も見てないようで実はすべてを知っている近所の少女。

なんだか腕っぷしの強そうな管理人のおばあさん。

実はロリコンで犯罪者ギリギリの上の階のおじいさん。

 

この映画で描かれる「赤ん坊」というものの得体の知れない不気味さ。

(たしかに可愛いけど、その旺盛な食欲の起源や「この生命はどこからきたのだろう」と考えると不気味に思えるときもある)

「子供」というものの残酷で無慈悲な一面もあるそのイノセントさ。

その子供を自分の欲望の対象にしても構わないだろうと、一線を超えてこようとするおじいさんの狡さ。

とりあえず、日常を運営し続けるためには、自分の身近に起きていることを見もしない聞きもしないでいる無関心な人たち。

そして「生きるために食べ続ける」という行為そのもののグロテスクさ。

とても面白く見てしまいました。

 

その優しさ故に狂気に至ってしまう主人公夫婦、思わずラストの方では「おおお!この流れは『キャプテン・スーパーマーケット』(1992年)だ!!」と感動しましたが(そうじゃなかった)

 

てっきりこの「オテサーネク」は1970年代の映画なのかと思ってたら(生活用品の雰囲気とかからそう思った)なんとこの映画2000年制作なんですよw

ということは。

本当に「キャプテン・スーパーマーケット」に影響受けているという事もあるのかも?ですね(゚∀゚)