山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「血の轍」

年末に取りだめてたテレビ番組を見てたら、現役の漫画家がリレー方式で「好きな漫画を紹介する」というコーナーがあってですね。

そこである漫画家さんが推されてたのがこの漫画でした↓

csbs.shogakukan.co.jp

一見、美人で物静かな母「静子」とその静子の一粒種、溺愛されている息子の「静一」

この二人をめぐる「サイコサスペンス」な物語であります。

 

弐号機が番組内での「血の轍」の紹介コメントを聞いてて、

「この漫画面白そう、買おうかな」

と言ってたので、

「買ったらお母さんにも読ませてね」

などと言ってたら、本当に9巻まで大人買いしてきました。

 

はい、読ませていただきましたともー(゚∀゚)

……

………(^_^;)

あのー、その本(「血の轍」を指差しながら)がリビングに置いてあるの、すごく怖いんですけど…

片付けてもらっていいですか?

本から邪気が湧いてきてるのが肉眼で見えるほどなんですけど…

 

とまあ、それほどに恐ろしい漫画でした。

「まあ、母親なんて母親になったところで、腹の中の赤ん坊が生まれる前に堕ろすことだって、自分の胸先三寸でやっちゃえるような生き物なんだから、半分鬼みたいなものなんだよねえ…その事がわかってない女の人だってたくさんいるのに(つまり母性への純粋な信仰とも言える、「母はみな子を慈しみ愛しぬく」「母は自分を犠牲にしてでも子を守る」という「母性信仰」)、この作者の人、男の人なのに母の恐ろしさをよく知ってらっしゃるわね(単純に感心)」

が、ワシの感想でした。

 

そしてこの主人公の母「静子」

この人の恐ろしさに妙に既視感があると思ったら。

「妻は告白する」(若尾文子主演 増村保造監督 1961年 大映

ja.wikipedia.org

この映画の主人公「彩子」に似ているんですよ、「静一の母、静子」は!!

 

映画の主人公「彩子」は不幸な結婚生活を送っている女性なのですが、ある時、夫と登山中に遭難し、夫が死んでしまいます。

その死は故意だったのか、生きるためのやむを得ない措置だったのか?法廷で争うという映画なんですけどね。

 

美しく、しとやかな彩子が、映画が進むにつれて、その虚像が剥がれ落ちていき真の姿が顕になるシーンが、実に、実にホラーなんですよ。

男を自分の手のひらに囲い込んで、その生殺与奪の権利をすべて自分のものとし。

自分の胸先三寸で、ぎゅっと握りつぶして殺してしまうことも厭わない、女郎蜘蛛のような女。

「あーー、これだこれだ」思い出せてスッキリしました(゚∀゚)

 

ぜひ、漫画「血の轍」も映画「妻は告白する」も未見であったなら、ご覧になってくださいね。

「女というのは度し難い生き物だ」という一面を教えてくれますよ。