山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「流されて…」

若い頃に見た映画がGYAOで無料配信されてたので、改めて見てみました。

お題はコチラ↓

「流されて…」(1974年 イタリア リナ・ウェルトミュラー監督)

はい、貴族階級出身の女流映画監督リナ・ウェルトミュラーの代表作ですね。

期せずして召使いの男と二人、ボートで流されて孤島にたどり着いてしまった貴族の奥様の物語です。

 

若い頃に見て、「メロドラマ…」くらいしか思わなかった映画ですが。

おとなになって見返すと色々発見があって面白かったです。

 

まず、貴族の奥様の人物造形がすごく良く出来てる。

やはり見知った世界が血肉になってバックボーンを持つ作家は強いですな。

なんたって、この貴族の奥様が野獣のような召使いの男に惹かれていく過程がすごく繊細に納得を得られる形でよく描かれてます。

 

今回はじめて気がついたんですけど(゚∀゚)

物語が始まる豪華ヨットの上で、夜中に召使いが歌っている歌声を聞いたときに既に奥様の恋は始まっていたんですね。

今回、そこに初めて気がついて、おお!と膝をたたきましたよ。若いときは「夜中に一人で歌っててうるせえ召使いだな」くらいにしか思わなかったwのです。

 

そしてもう一つ気がついたのは、この映画が「チャタレイ夫人の恋人」を下敷きにしてるって部分でした。

まあ、貴族の奥様が下賤な身分の男に本気で恋をしてしまう物語だから、そりゃあ同じテーマの有名作品を下敷きにもして当然でしょうや。

感じたシーンは以下↓

・寝ている恋人の裸の体の上に花を飾る

・奥様が「私の初めてになって」と恋人にお尻を捧げる

 

孤島で二人っきりになることで初めて二人はむき出しの男女になり、階級闘争の果てに和解し愛し合うというテーマが面白かったですね。

男は救出されても恋の夢を忘れられないが、女はその恋は過去の恋として閉じ込めてしまうという物語の運びもすごく面白かったのです。

 

だって、恋の勝者はいつだって女性じゃないですかw

恋を終わらせる事ができるのはいつだって女性ですからね。