山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「アンナ・カレーニナ」

今週のGyaOの配信映画はすごく良いわよー!みんな見てみて!!ヽ(=´▽`=)ノ
ワシのおすすめはコレ!

「アンナ・カレーニナ」(2012年 イギリス キーラ・ナイトレイ主演 ジョー・ライト監督)

かなり面白い演出が施されてて、一見、舞台劇を見ているような印象を受けます。
本当に俳優さんたちが舞台俳優みたいにステージに上って、当時(帝政ロシア)の劇場の舞台で、ろうそくのフットライトに照らされながら演じられているってテイで撮られているんですね。
なので場面転換ではバックステージに行ったり、そこには出番を待つモブのみなさんが居たりして、バレエの振付みたいな、妙に様式化された動きをしたり_それがまたいろんな制約にとらわれて人間らしい生活が出来なかった帝政ロシアブルジョアの生活を表してて、すごく面白いんですよ。

まるでトルストイmeetsシェークスピアて感じですよ。
このトルストイの悲劇を見ていると、「Life's but a walking shadow, a poor player 人生は歩きまわる影法師、あわれな役者だ」というマクベス (『マクベス』(Macbeth) 第5幕第5場 )の台詞を思い出します。
あてどもなく、でも、はかなき恋の手触りに夢中になり、この恋に自分の生命すら捧げようとする哀れな貴族の女性。
18歳で恋も知らず、年上の大臣に嫁ぎ、子を生んで母になっても彼女は未だ恋も知らず。
その情熱の行き先を求めて社交界のプレイボーイの手中に落ちてゆくのですが…

ワシは若い頃、ヴィヴィアン・リーの「アンナ・カレーニナ」(1948年)を見た覚えがあるのですが。
その時の印象は、ありきたりなメロドラマにしか見えなくて。
「この主人公はアホですか…」としか思わなかったのですが。

でもさ!映画って見る年齢によって印象もわかるんですよねw
ワシ、20代前半の頃、ヴィスコンティの「夏の嵐」(1954年)を見て。
「なんじゃーこの色情狂のばーさんは」としか思わなかったのですが(^_^;)

近年、見直してみたら。
恋も知らず、若くして貴族に嫁いだ女性が生まれて初めて知った恋の情熱、それは狂恋とも呼べるほどの悲しいまでに燃え上がる恋のお話だったので、びっくりして主人公のあまりにもあんまりな哀れさが心にしみました。

つまり、19世紀において、「恋も知らずブルジョワに嫁いだ女性の狂恋を描く」というのは、ひとつの人間性復権の物語でもあったのでしょうね。
そしてその「人間性復権」はロシア革命につながり、第一次世界大戦に繋がり、貴族制度、ブルジョワジーの解体に繋がり、一般市民の人間性への復権につながるんだろうな_などと思いながら見てましたw

それと、「アンナ・カレーニナ」に出てくる人物で一番祝福されているのが、朴訥で真面目な農場主の男性。
この人が本当にトルストイ的な人物(人は土とともに生きるのだ!それこそが幸せなのだ!!的な)でそこも興味深く見ました。