山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「新源氏物語」

今まで見たことがなかったので、見てみましたよ。

「新源氏物語」(市川雷蔵主演 森一生監督 1961年大映

これは…かなりの異色な源氏物語でして。

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※こんな感じで前を開けた美女と光源氏が昼となく夜となく、あふんあふんとまぐわい続けます(赤面)

 

この映画、主人公の光源氏を演じる市川雷蔵の美貌もさることながら、宮廷の女性たちの美しさも言葉をなくすほど見事です。

次から次に本物の美女が出てくるので目玉がびっくりしちゃいます。

一応「ブス」って設定の「末摘花」ですら水谷良重が演じてて、匂い立つような色香がすごいんですよ。

藤壺」「桐壷」の二役を演じる寿美花代の高貴さ(この人、こんなに良い女優だったんですね)

夫に愛されぬがゆえ、嫉妬に狂い夫に辛く当たる「葵の上」を演じる若尾文子の瑞々しさ。

まだ小娘なのに、自分の欲望の赴くままに光源氏を誘惑する「朧月夜」の大胆さ(死ぬほど愛くるしい中村玉緒!!!←当時は楽屋で市川雷蔵に数学の宿題とか教えてもらってたくせに、いざ撮影が始まれば見事ラブシーンも演じるとか化け物かー!?)

 

原作は川口松太郎週刊文春に連載されてたものなんだそうです(数多ある源氏物語を原作とした舞台や映画がある中で、川口松太郎を原作にしてるのは珍しいと思う)

 

そのせいか?世界観がねえ…

よく源氏物語を「世界最古の恋愛小説」とか言われますけど。

なかなか現代語訳を見てても「そうだっけ?」という印象なんですけど(ワシには←個人的意見です)

 

いやはや、この「新源氏物語」は…

世界がまるごとエロいんです。

「そうか平安時代って、恋愛以外はあんまりやることがなかったのかもね」

と思わせるようなものでした。

 

いろいろ調べてたら、この映画の公開時の惹句がすごいんですよ↓

十二単衣がはらりと落ちて、玉なす黒髪は紫のねやに乱れる九重の奥深くまことの恋を求めて、妖しく、美しく繰り展げる王朝絵巻

『衣ずれの音も妖しく、光の君の訪れに、禁断の女体が歓こびにおののく

『せめて一夜でも光の君と・・・女性なら誰でも一度は憧れた夢の恋を現代に結ぶ絢爛の大ロマン

『この美しさたぐいなく、その激しさ限りなし王朝の夢を現代に結ぶ絢爛の大ロマン』

 

早くに実の母と別れた光源氏が、その面影を追い続けるあまりに次から次へと女性を追い求め、自分の手中にしたところで心の穴は満たされず、乳を求める赤子のように女狩りが止められない止まらない…!!

なお話でした…

しかもその欲望の赴くままに女性を追いかけ続けていると、やはり取り返しのつかないことになるわけで。

この映画は光源氏が明石に流されるところで終わります。

 

あと、先帝の役で市川雷蔵の養父「市川壽海」さまがご出演なさってます。

父子共演って事でここもお見逃しなく。