山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「新・平家物語」

今まであまり評価が高くなかったので見てなかった溝口健二作品「新・平家物語」たまたまBSプレミアム・シネマでやってたので録画して見てみましたーφ(゚∀゚ )
そしたらさー、コレが思いの外、面白い面白い!
さすが、巨匠=溝口健二!(そしてカメラはゴッドハンド=宮川一夫ダー!!)
あんまり語られることのない「噂の女」(1954年)ですらアレだけ面白かったもんなあ…何故、溝口健二が巨匠と呼ばれるのか、このワシにもわかってきた気がします(遅すぎ)

この「新・平家物語」は1955年作品。
溝口健二の最後の作品となる「赤線地帯」の前年に撮られた映画なんですね。

さて、この「新・平家物語」見始めて驚いたのは、「何この既視感!?」Σ(゚д゚|||)でした。
見たはずのない映画なのに、「物凄く見た覚え」がある。
「何この超能力?」と首を傾げながら見てて気が付きました。

「あ。平清盛」(2012年NHK大河ドラマ

大河ドラマは別に吉川英治の原作ではなかったはずなのに、この原作付きの「新・平家物語」と割りと細部に至るまで似ているというのは…これはどうしたことなのか…
リスペクト?(^_^;)オマージュ??(^_^;)

コレは…「史実を踏まえて作ったら、たまたま似ちゃったんです!」と言い逃れできないまでに似ております。
違うのは…実母である白拍子がちゃんと生きてて。
「奔放な母」として生きている(そりゃあ清盛の苦悩も深かろう)んですな。

この「奔放な母」を演じる木暮実千代のヴァンプ(妖婦)っぷりが素敵に凄みがあって。惚れ惚れしますなあ(*´∀`)

この衣装!(*ノェノ)キャーイブニングドレスみたいで素敵ー。今の女優なら小池栄子?くらいにしか着こなせない気がしますがw
いかんせん格が違うような(言っておくがワシは小池栄子が好きです)

そして雷様(市川雷蔵)に至っては「熊の毛皮で作った「ツケ眉毛」を触角みたいな角度で貼り付けて頑張って演技なさっておられます↓



とても興味深かったのは、キャラクター的に平清盛からもっとも遠い俳優である市川雷蔵が頑張って演じていたこと。
本当に何でも演じることができる名優だったんですね。
若い清盛を情熱をもって演じておられました。身のこなしの軽やかさは「若さ」を表し、所作の美しさは武士らしい凛々しさに溢れております。

それと、この「新・平家物語」とても話の内容がモダンなんですね。
そこに一番驚きました。
「自立した近代人」として清盛が描かれてて、そこもとても目からうろこでした。うーむ、さすが溝口健二
美術もすごいし衣装もすごいし、モブシーンの人の多さ、撮影の長回しっぷり。
すべてがまさに「眼福」で、「コレは映画の宝石箱やあ〜」*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゚゚・*と何度も呟いてしまいました。

日本映画の黄金時代。
芸術と娯楽が美しく一体化してた頃の素晴らしい遺産であります。必見。