山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「白いリボン」

GYAOで今、無料配信されている映画が超面白かったのでご紹介。

あの!映画「ピアニスト」の監督ミヒャエル・ハネケの監督脚本によるながーい映画です。

でもこの画面にみなぎる緊張感と後味の悪さは一級品!

ワシは結構はらはらドキドキしながら最後まで見ちゃいました。

予告編はこんな感じ↓

映画はフランス語版だったので、「フランスの話しかー」と思ってみてたら、宗教はプロテスタントみたいだし、「なんか変?」と確認したら監督がミヒャエル・ハネケで舞台はドイツ北部だそうで。

それですべてを納得しましたw

 

1913年封建的なドイツ北部の田舎、男爵が領地を治め、その荘園で働く小作農民、その農民をとりまとめる家令、そして宗教的指導者である牧師さん、村のドクターと看護婦らとその家族たちを軸に話が進みます。

その小学校で働く若い男先生はよその村から来た人で、彼の目を通してその村で起きた奇妙な事件の思い出が語られていく構成となっております。

 

まずはドクターが、何者かに自宅へ向かう道に針金を張られてて、落馬事故で大怪我をおい入院してしまう所から映画が始まります。

これが「第一の事件」

すると間髪おかず、小作農民のおかみさんが製材所の腐った床を踏み抜き転落死するという悲劇が起きてしまいます。これが事故なのか「第二の事件」なのかは映画中でははっきりとは語られません。

 

すると、このおかみさんの息子が「事故は男爵の製材所の管理が悪いせいだ」と考えて、男爵所有のキャベツ畑をザクザクに大鎌で切り刻んで破壊します。

当然、この息子は逮捕されます。

するとその途中にも何故か家令の息子が橋の欄干を綱渡りよろしく渡ってたりして、「神様に許された」とかわけのわからんことを言ったりします。

 

そして「第三の事件」男爵家の幼い息子(超美少年)が誘拐され行方不明になったら、発見時には納屋で逆さ吊りにされて鞭打たれてたという陰惨な事件が起きます。

 

誰が何のためにこの罪もない美少年を誘拐した挙げ句、拷問したのか?これはなにかの報復の応酬の合戦映画かな?と見ていると、どんどんこの村の秘密が明らかになってきて、心底冷え冷えとした気持ちになって、下手なホラー映画よりよほど恐ろしくなってきます(;´Д`)

この構造は「ピアニスト」と同じですけどね。

 

つまり、市井の平和そうな田舎の善良な人たちでさえ、影を持ってる。大人であっても子供であっても、人間は等しく簡単に犯罪に手を染める。その部分ではとても平等。

 

人間はかくももろくも壊れやすい_ということがテーマだと思うのですが…

人間はこうも同調圧力と誘惑に屈しやすいとミヒャエル・ハネケ監督は語ってる気がします。

この後、この村でさえ戦争に巻き込まれ、この人達が一致団結して第一次世界大戦第二次世界大戦に邁進していくのかと思うと、妙に納得するというか、この普遍さ、当たり前さに戦慄するというか。

「恐ろしい映画」ですよコレは。

是非見てちょんまげ。GYAOで2月2日まで無料配信してますよ。