山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

妖怪鐘鳴らしの正体は

毎年。晩秋〜冬にかけて夕方になると、「謎の音」がしてくるんですな。
コレが不思議な音でして。
リリーンチリリーンという涼やかな鈴の音がしたかなと思うと、次の瞬間に、
ギョロゴロォーーングロゴローーーンというワレガネをヒックリ返して蹴っ転がすような奇っ怪な音がしてくるんですよ。

うちの前の山道を遠くからジワジワとその音が近づいてきて。
「そろそろ家の前に来るかな?」と待っていると、何故かうちから見えない場所でUターンするらしく、その音はゆっくりとまた遠のいて行ってしまうんですね。

うちでは昔からこの音が聞こえてくると、「妖怪鐘鳴らしが来た」と言ってたんですが。
これが冬の夕方、家に誰もいなくて一人で家にいる時に聞こえてくると、なんとも心もとない不安な気持ちになってしまうものでして。

この20数年間の間に何度か、音が聞こえた瞬間に家を飛び出して音の原因を確認しに行ったりしてたのですが。
どうしたことか。
つい今しがたまで音がちゃんとしてたのに、山道を走っておりてって、Uターンするとおぼしき場所まで走って行っても、音の元は姿形もなくて、山道には人っ子一人居なくて、またしてもシミジミと寂しい気分になるのです。

「やっぱりアレは妖怪鐘鳴らしのしわざだな」

と初号機と言い合ってたんですが。

何としたことか。
昨日の夕方。
妖怪鐘鳴らしが山道を上がってきたんですね。

鐘を鳴らす音が遠くから近づいてきます。
うちからほんの100mほどしたまで来ているようです。

ちょうど弐号機を駅までお迎えに行く所でしたので、「今なら車で追いかければ妖怪の正体がわかるかも!」と慌ててエンジンをかけて車を出したワシが見たものは…

次号に続くφ(゚∀゚ )アヒャ

いや続かない。
予想外のものが山道の途中でUターンしてたんですね。ついに目撃しました。

ワシの予想としては「妖怪鐘鳴らしの正体」は、
・旅の虚無僧(尺八の代わりに鐘を持っている)
・近所の変な宗教にハマっているヒトの奇っ怪な儀式(毎夕、鐘を鳴らしてお祈りしている)
・ワシが知らない移動販売車のチャイム
のうちのどれかなんだろうな…

と思ってたのに。何故か山道の途中に居るのは真っ赤な消防車でした。

しかも車の上に乗っている赤いパトランプを一列全部ビカビカ光らせて、ハザードランプ?もビカビカ点滅させててなんかやたら眩しい。
「あ、音の正体はコレだったんだ」w(°O°)w

そしてその消防車は駅まで行く間、ワシの背後にピッタリと張り付いてて落ち着かないことおびただしい。
やっと駅の手前の住宅街で左に曲がって去ってったんですけどね。

弐号機を駅まで迎えに行って、「ねえねえ、あの冬になると鳴る音の正体って知ってた?」と弐号機に聞くと、
弐号機がすました顔をして
「消防車でしょ?あの鐘をガラガラ鳴らしているのは多分、火の用心のつもりなんじゃないかな」と言うではありませんか。
「え!!いつから知ってたの?」と聞くと、
「中学生の頃に、ちょうど家に帰ってたら見かけたことがあるのよ」と言うのでした。