山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ボイス追悼 3

そんな事情で「白菜のおまけ」として我が家にやってきたボイス。
まだ生まれて45日しか経ってなくて。カワイソウでしたね…

子犬ちゃんの名前はボイス

幼稚園生だった初号機の膝に抱かれて我が家までやってきた子犬ちゃんは。
兄弟犬や母犬プリンちゃんを恋しがって「キュッキュッキュー」と鳴いておりました…
「まずは首輪に慣れさせないと」と首輪をつけると嫌がり…(ーー;ま、そりゃそうだわね…今までフェンスの中で放し飼いされていたんだから…
数分で首輪も外して。
「明日また、首輪をつける練習をしようね」と言い置いて、その夜は、つなぎもせずに寝ました(^_^;)
首輪を嫌がる子犬はリードも無理だろうという事で。

夫が犬が家に入るのを嫌がるので、玄関の中にすら入れてもらえず。
貰ってきた子犬は一晩中、キューンキューンと寝室の外のウッドデッキの周辺ですすり泣いておりました。

真夜中になり、やっと子犬が寝静まった頃。
ワシは自分の人生がその後に大いに変わってしまうなんて夢にも思わずにある行為に及んでしまうんですね。
まさか、そんな事になるとは。
まさに「人生とは思いがけないことの連続」(ワシ作ワシの座右の銘)ですよ。

で。翌朝。
新聞を取りに行くと、子犬の姿が見当たらず。
「あれっ!?どっか逃げて行っちゃった!?」と庭を探し回ろうかとしていたら。
玄関横の丸いシダの茂みに上半身突っ込んでお尻としっぽだけが見えている子犬ちゃんの姿がありました!

「ああ。こんなところに潜り込んで。寂しかったんだねえ」と抱き上げて頬ずりすると遠慮がちにぺろぺろと顔を舐めてくるのですよ。
(*´ω`*)カワエエ…母性本能が疼きます。
家族会議の結果、子犬ちゃんの名前は「ボイス」に決定。
どこからどう見てもオオカミとかコヨーテ風で。
フルクサス」のメンバーであり、ドイツの現代美術家ヨーゼフ・ボイス」にあやかった名前でありました。


参考画像 ヨーゼフ・ボイスとコヨーテ

ワシは「栗丸」を主張したのですがw(栗色で丸いから「栗丸」w)
非常に無口な犬で。
全然吠えないんですよ。
「コレは…生まれつき声帯に問題があるとか??」と不思議に思って獣医さんに相談したこともあるほど。
一切吠えない犬でした。

しかし、ソレ以外は。
健康この上ない子犬でして。元気いっぱい。
首輪やリードに慣れて、中庭につながれるようになると、長い(7m)のリードをイッパイイッパイに使って、全速力でピロティの端から端。裏山まで走って行ってリードが届くギリギリまで裏山を駆け上がり、玄関前に戻ってくるという、一人ストリームをですねw
延々と一日中繰り返すような犬でした(^^)
我が家では「ボイスの自主練」と呼ばれ。二階の窓から恐る恐るその様子を眺めては、「黒い砲弾」と呼んでおりました。

ボイスはメキメキと音を立てる感じで巨大化して行き。
「子犬ちゃん」という見た目だったのは、本当に最初の二ヶ月ほどでしたね。
その頃ワシは自分の身体の変化に気がついてしまったのです。
なんかむかむかする。夕飯を作っていると気持ちが悪くなって元気がなくなる。

当時、プールに通ってまして。
毎日2000メートル泳ぐという日課だったのですが。
「…そういえば今月の生理って遅れてない??」と気がついてしまったんですな。
「あれ??どれくらい遅れている??2週間以上????ギャーー」
で。薬局で妊娠検査薬を買って来ましたら、すぐに陽性反応が出まして。

「おめでとうございますおめでたですよ」(:D)| ̄|_だったのです。
この頃はワシ、手元にあったマタニティ&ベビー用品、全部人様にあげちゃっててですね。手元には殆ど残ってない状態でしたw
「もう親子三人プラス犬一匹&猫一匹で行きていこう」と決めてたものですから…
「うわー。困った!一から買わなきゃ。しかも、子育て最初からまたやり直しかよっ!!」みたいな感じで。
「嬉しい」というよりは、「エライことになっちゃった」が最初の気持ちでした。

なんせ当時ワシは37歳。
十分に高齢出産になっちゃいますよ。
高齢出産はリスクも多いし、この野獣みたいな犬をしつけて、家庭犬として育てて行かなくてはいけないのに…これ、ドーナッチャウノ!?が正直な気持ちでした。

でも、考えてみれば。
初号機はガンで余命宣告された姑のために、「生きているうちに孫の顔を見せたい」と無理矢理ハードな不妊治療で授かった子でしたので。
自然に妊娠したのは人生初だったんですよね。

「なるほど、この子もボイスが連れてきたのかもしれないな」
と思って、観念してw妊婦生活に入って行きました。

そんなある日、ボイスが生後半年ぐらいの頃。家の前の山道をですね。
杖をついた近所のご老人がヨロヨロと登って行かれてました。
「ああ、足が痛いけど山の上の畑に行きたいんだな」とその様子をぼんやりと見ておりましたら、ボイスがですね。
その杖をついてヨロヨロ歩くお年寄りの姿がよほど異常事態に見えたらしく、

「ウ~~」と小声で唸ったかと思うと次の瞬間に、
うおぉん!」と吠えたんですよ(・∀・)
「おお、ボイスが生まれてはじめて吠えた!!」(感動)
大きさはすでに成犬の柴犬くらいになってましたね。