ワシは彼の物語を知っている。彼はアメリカの田舎町で生まれ育ち、思春期の頃に両親が離婚した。
彼と彼の姉は父親に引き取られ、田舎町での静かで退屈な生活が続いた。
彼の友達はケーブルTVだった。
彼はある日、そこで日本のアニメに出会った。
全然ストーリーはわけがわからないし、なんだかぶっ飛んだ変な物語だった。
その中で流れた曲が彼を捉えて離さなかった。
何を歌っているのか全然解らなかったのに、気がついたら涙が次々に溢れてきて、その曲が自分にとってとても大切な曲なのだとわかった。
その曲の名前は「ハイブリッド・レインボウ」
日本のロックバンド、the pillowsの曲だった。
「一体コレは何を歌ってるのか？」
自分なりに一生懸命に調べた。
日本語も調べた。
そしてその歌の内容が、まるで自分に向けて歌われたような気がして、意味を知って、また泣いた。
幸いなことにネットが普及してきた頃で、同じような子供たちと彼は出会った。
自分が全くの一人ぼっちではないのだと彼は知った。
the pillows - Ride on Shooting Star & Last Dinosaur @ Gramercy Theatre
