山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「みんな連れて」

凄いなあ「PIED PIPER
間抜けでかっこ良くって、ポップでイカレてて、キュートで純粋で暴力的で世界は終わりかけててwそれなのにものすごくスムースに、「え?もう終わり??」って感じで聴けちゃうこの11曲。

ワシの予想では、「次のアルバムはペナルティライフ的なロックなアルバムになる筈」だったのに。
予想を超えましたね。
「まさか、今作では、聴いてて泣くような曲はあるまい」と高をくくっていたワシが悪うございました(平伏)
気持ちよく泣かせて頂きました!(^^;

「なんでこんな心に響くのかな?」
いつもピロウズを聴いてて一番不思議に思う部分です。
「この感情は知っている」「自分にも覚えがある」
そんな__人類普遍の感情とでも言うべきもの?を__なんと、山中さわおという人は、正直に真摯に、自分の事を描きながら掬い捕って見せてくれるものであるか。
「この彼の姿勢がある限りは、このピロウズの原動力は不滅なんだろうな」
と、今回、このアルバムを聴いてて確信しましたね。

自分自身を「新しいケモノである」と断言しながらも、同時に自分のやっている事は「亜流のロック」と言いのける、この強さ。したたかさ。
「男気の人なのだなあ」
この馬鹿正直さ。嫌いじゃないです。

なのに、燃え上がる空を見上げながら、「それでも自分に出来る事は歌う事」と言いのける、この強さ。
なんか、オバちゃん、思わず感動しちゃったじゃないか。
軽く涙がにじんだぜ、チクショー。

一曲目「PIED PIPERからして、まさにこのアルバムの幕開けにふさわしく。
「この20年近くやって来たピロウズってこんなバンドなんですよ」の紹介にもっとも相応しい楽曲ですよ。
「音楽の魔法でみんなを連れて行っちゃうよ」
という楽曲ですが、コレが色んな事を連想させて面白いですね。

確か、去年だったか?「スケアクロウ」のラスト部分、「夢の向こうまで僕は旅を続けるつもりだよ、キミを連れて」の所を
「みんな連れて」と変えて歌った事があったんですよ。

つまりコレは、「スケアクロウ」そのものはメンバーに向けて「どこまでも一緒に居てね、バンドを続けて行こうね」というラブレターだった筈なのに、いつのまにか、「連れて行くのはファンも一緒だ」と思うようになった、その心境の変化をもっともよく表したエピソードだなあと、思っています(勝手に)
そしてその思いは、今回、こうやって楽曲として登場したのだと。