山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「LOSTMAN GO TO YESTERDAY」レビュー その14

「このこけつまろびつって感じ、アレに似ているよな」<妄想スイッチが入った瞬間
アレ=「山椒大夫」の田中絹代が琵琶湖のほとり(?)で爆走するシーン
※人さらいに自分の子供達を連れ去られそうになった田中絹代が、死にものぐるいで人さらい達に追いすがりながら子供を取り返そうとするシーンの事
ガチで船から突き落とされる人が居たりして、「けが人続出必至!」な場面。

田中絹代だって別にアスリートじゃないんだから、走る姿はドッチかと言うとかなり無様です。
でもこの本気な走りのシーンは、監督溝口健二のサディスティックなまでの演出が光っていて、ついつい引き込まれる瞬間ですね。
「怪我しても構わない!」という田中絹代の本気走りの姿が、なんとも人の胸を打ちます。
まあ、ワシがナニにいつも感動するのかというと、「不器用な人間が一生懸命、必死になにかをやっている姿」ですな。

ピロウズも然り。
いや、プロのミュージシャンで芸歴だって長いんですから、「不器用」という言い方は正しくないのかもしれませんが。
でも、ワシはいつもそう感じてしまうんですね。

「余力でやっている」とか「肩の力を抜いて」とか。
「リラックスした余裕ある態度で」とか「枯れた味わい」とか。
そういうのが一切無いのが、ピロウズの魅力なんですよ。
他の人はどう感じているのか知らないので、コレはあくまでワシだけの見解&妄想ですがね。
ヒトによっては、「さわおさん、シブイっす!枯れた大人の魅力っすよね!?」とか思っているヒトも居るかもしれない(若い人だったらあり得るかも?)

「いや、ソレは違うし・・」と、それに関してワシは思うんだけど。
まあ、ヒトの感じ方は人それぞれですし。
もしかしたら「さすがベテランバンドだぜ!演奏は余裕があるし、あんな楽々と演奏しちゃってさあ、憎いね」とか思っているヒトも万が一、存在するのかもしれない。

でも、我が夫が先日NHKの番組説明にて、「ピロウズは結成18年目のベテランバンド」と書かれていたのを見て、
「これほどベテランバンドって言い方が似合わないバンドも珍しいよ」と発言していたので、おそらく、こう感じているのはワシだけでは無いはずです。