山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

フェミニズムのテキストとしてのDVD

そして「本当に恐ろしいトドメ」は実はこのライブ終了後の反省会(?)の様子に記録されていたのです。
まあ、全部終わった後なんですけどね、一応、バンドとして?の反省会をやるんですよ。
すると、「曲に対する違和感」を口にする三人ベーシストのウチの一人(椎名林檎の福岡時代の友達)
この前代未聞の「三人ベーシスト」の内訳は、椎名林檎のバックでいつもベースを弾いていた「カメちゃん」がリードベース、そして椎名林檎本人、そしてこの福岡の女の子。だったんですけどね。

この女の子が「曲に対する居心地の悪さ」みたいなものを口にするんですわ、全部終わった後の反省会で。
このバンド「発育ステータス」はこの時だけのプロジェクトで、この後もっと続けるとかこれが発展してナニカになるなんて事は、おそらく絶対に無いバンドなんですが。
「よかったねー。イエ??イ♪」で終わればいいライブ終了後の、単なる打ち上げで終わればもうそれでいいじゃん?な反省会で、突然、この子がこんな事を言い出すんですよ。

それに対して、椎名林檎とカメちゃんは「それは個人個人の感覚の違いだから、仕方ないよ」みたいな言い方でさらっと流してしまおうとするんですよね。
すると、まだまだ「何か違う」とジリジリ悩むベースの女の子、自分のその違和感をどうにか他の人に伝えたいんだけど、うまく言葉に出来ない。

ジレてジレて、自分のこの違和感を「単なる感覚の差」だけでは終わらせたくないらしい様子なんですよ。
するとですね?なんとその最後の最後に、田渕ひさ子がさらっとその違和感を言い当てるんですよ。
(その詳しい内容についてはDVDを見てのお楽しみ♪)

このシーンが本当に凄い。
「あ、やっぱりこの人は自分の本能と感覚で音楽をやりぬく人なんだ」とワシが確信した瞬間です。
そしてその後、唐突にこのDVDは「ブツリ」と終わるのです。

「コレはホラーですか?」(冷や汗をかいているワシ)

明らかに絶対的な才能を生まれながらに持つもの、持たぬもの。
凡人が努力してなるもの、なれないもの。
魂を売り渡しても欲しがるもの、与えられぬもの。
自然に沿って生きるもの、自分でコントロールしようとするもの。
色んな事を教えられるDVDでした。

そしてこの「発育ステータス」が2000年の事。
椎名林檎田渕ひさ子のその後を見ると、更に感慨深いですね。