山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「山椒大夫」に泣き濡れて

激しい雨音で目が覚めた。
家族全員が「スゴイ雨」と言いつつゾロゾロ起きてくる。なんとも強い雨。こんなんじゃあボイスは、今日一日フテ寝である。
家の中もジットリ。今年初、エアコンをつける。

メールで「ご注文のDVD入荷しました」のお知らせを受け取る。
ネット通販で買った>『食神』(チャウ・シンチー監督&主演)
最寄りのTUTAY○に届いているらしい。
お店を廻ったけれどなかなか現物に出会えないDVDなので、ネット通販に頼った次第。
ネットだと入手が難しい作品も簡単に手に入るので、お薦め。

午前中、雨が小降りになったのを見計らってボイスと散歩。
黒い雲が空を覆っている。
濡れた木の葉の裏に留まっているモンシロチョウ。低く飛ぶツバメ。
畑の横を歩くとピーマンの青い匂いがした。

小雨降る中、グラウンドで「フォークオヤジ」(以前、ボイスを干し草用フォークで突いた、近所の農家の養子オヤジ)が、一人でリモコン・ヘリを飛ばして遊んでいた。
他の人だったら「趣味人なのね」と温かい目で見つめられる光景も、フォークオヤジがヤッテイルとなると話が別で、「イヤね、気味が悪い!イイトシして軍事マニアなのかしら!?」(いつも迷彩ツナギ着ているし)と、「単に不気味な光景」にしか見えナイ。

「家に豆が一合あれば農家に養子に行な」という古い言葉があるらしいが、このオヤジを見ているとそれが実感を持って迫ってくる。
汚らわしいモノを見てしまったかのように足早に通り過ぎる、ワシ。
アンタが家族中から苛められているからって、そのツケをウチの家族やボイスが支払わねばナラナイ理由は何処にもナイよ。ナイったら絶対にナイ。

午後はビデオ鑑賞。『山椒大夫』(溝口健二監督・田中絹代主演/1954年)
昔話で有名な「安寿と厨子王」の物語の映画化。
この年のベネチア映画祭で『道』(フェリーニ)『七人の侍』(黒澤)と銀獅子賞を分け合った作品。初見。

もう、マズ、映画が始まってイキナリ画面の美しさ、構成力、奥行きにノックアウトされる。
この画力(絵を描いたという感覚に近い画面構成)この美!!画面の奥の奥までが美しい。
気が付けば感動の涙に泣き濡れて、目が一瞬たりとも離せなくなっている。
コーフンのあまり、胸がドキドキ、動悸が激しくなってしまう。
ダンナは「寝た」らしいが、ワシは「ワシ的国宝」にこの作品を認定する。