山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「ノスフェラトゥ」

アマプラで配信が始まったので見てみました↓

ノスフェラトゥ」(1979年 西ドイツ ヴェルナー・ヘルツォーク監督 クラウス・キンスキー イザベル・アジャーニ

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ヴェルナー・「とにかく絵力が強い」ヘルツォーク監督作品だけあって、画面はすごい迫力です。

「画面は」ってのはですね…

ヤング・フランケンシュタイン」(1974年 メル・ブルックス監督)が出た後に、しかも5年も経ってて。

真剣に大真面目にゴシックホラーを描くのが…つい笑っちゃう演出場面が多くて。

思わずゲラゲラ笑いながら見てしまいました「ノスフェラトゥ」1979年版。

演技とか演出が戦前の「カリガリ博士」みたいなんだもん(狙ってるんだろうけど)

 

いちいち大袈裟なセリフとか、大げさな演技、絵に書いたようなホラーの定石が面白すぎて声上げて笑っちゃったですよ。

でもね、さすがヘルツォーク監督。

今まで「フィッツカラルド」(1982年 西ドイツ)しか見たことありませんが。

画面のパワーの強さ、女優さんの美しさ、クラウス・キンスキーの怪演(としか言いようがない)は流石でございました。

 

それと…今回初めて知ったんですけど…

バンパイヤが広げていく「死の影」ってヨーロッパのペストによる恐怖の事だったんですね(その点ではこの映画は「ベニスに死す」にも似てる気がします)

 

ヨーロッパの最深部トランシルヴァニアからドラキュラ伯爵の姿を借りて、厄災が船でオランダにやって来る…というのがすごく興味深かったです。

いわゆる「メアリー・セレスト号事件」

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を思わせるようなクライマックスへの流れとかお見事でした。

「世界の終わり」を思わせるような、祝祭の風景。

死に包まれ、やがてソレはヨーロッパ中へと伝播するだろうと想像させる終わり方。

 

いやはや、前半大笑いしながら見ててスマンカッタですm(_ _)m

なんで1979年にこんなに大真面目に伝統芸?に則ったゴシックホラーを作ったのかその理由は皆目わかりませんでしたが。

出っ歯の入れ歯をつけた「あんたはそれいらんやろ」な白塗りハゲのクラウス・キンスキーと。

あまりの美しさ故にそのまま画面の中に滲んで溶けていきそうなイザベル・アジャーニは見ごたえがありましたよ。

よろしかったらアマプラで是非。