山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

自身のファンタジーに飲み込まれる闇

そう言えば、「完全なる飼育」て監督に和田勉の名前が入っているんですよね…
和田勉といえば、NHKで演出をやっていた頃、鬼才、天才と呼ばれてて。
「一体どんな人なんだろう?」と思ってたら、NHK退職後、民放にタレントとして出演するようになり、そのガハハ笑いとダジャレで「こんな人なんだ」とひっくり返った記憶があります。

それなりに人気ものになって、「ガハハおじさん」とか呼ばれてて愛されてた気がするのですが。
しかも奥さんはアカデミー賞受賞者の衣装デザイナー、ワダ・エミだし。
「どんなパワーカップルなんだよ」と思っておりましたが。

最初に「なんか変?」と気がついたのが「完全なる飼育」に関わった事でした。
そのくせにラブシーン?Hなシーン?濡れ場??は恥ずかしくて演出できず、竹中直人に丸投げしたとかいう話も伝わってますし。
しかも脚本は「あの新藤兼人だし…
やはり、日本の男の人にとって究極の恋愛は「美少女監禁」なのかもしれませんな。
この病巣は深くて暗い。まさにを感じます。

実際、その「完全なる飼育」を見た時のワシの感想は、
「ボケ始めた老人の性のファンタジーを見せつけられて、正直、キモい怖い」だったんですけど。

「うふ、フランス人形みたいでしょ?」と媚態を作る美少女。
(ヾノ・∀・`)ナイナイ、そんな昭和の香り漂う事、実在の美少女はやりませんから。
老人の理想の恋愛、理想の性愛。
そんなものが実に幼稚で気持ちの悪いものだったのを強烈な印象として覚えておりますよ。

しかも、ずーっと見ていると、「コレはもしかしたら濹東綺譚的に昭和の臭いのする木造アパートで繰り広げられる新しい性風俗の一提案なのかもしれない」と思ってゾーッとした事も思い出してきましたw

和田勉とか新藤兼人にとってはこれが理想なのか」と寒々とした思いにとらわれました。

その後、新藤兼人の「裸の島」を見たら。
真面目な映画のはずなのに、新藤兼人の目線の変態っぷりが気持ち悪くて、また、ゾーッとしたものでした(苦笑)
これは瀬戸内海の孤島に住む一家が、農作物のために毎日死ぬほど苦労して水を汲みに行くという話なんですけどね。

映画の目線がw
乙羽信子のもんぺ越しのお尻にしか目が行ってないという奇作です。

和田勉新藤兼人、昭和を体現した二人の偉大なクリエイターが老境に達して色々とセーブが効かなくなって、暴走した結果、こんな映画をとっちゃったんでしょうねえ…と想像する次第です。

この映画を撮った数年後、和田勉は女子大生へのわいせつ行為で裁判沙汰になり裁判に負けておりますね…
自分のファンタジーに頭からバリバリと食べられてしまう人をまた見てしまった…という印象の事件でした。