山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

時代が変わるということ

ワシが現役の高校生だった頃。公立の美術科を持つ高校は日本全国に8校ありました。
当時は「そんなにあるんだ!?」とビックリしたものですが。
「21世紀の今は何校あるんだろう?」とググって更にビックリ。

公立私立合わせて140校くらいあるんですね(デザイン系をも含む)
「そんなにあるんじゃ淘汰されるのは仕方ないことなのかも?」
と一瞬は思ったものの。
「いやいやいやいや、ソーじゃない。歴史も伝統も実績もある母校が無くなって良い理由にはならんだろう?」
と慌てて思い直したですよ。
だって、第二高校なんて理数科と美術科があるからこその第二高校なんじゃないですかー。
理数科と普通科だけの高校になったらつまんないよー。
校内で変なコトやって笑いを取る人が減っちゃうじゃないですかー。
「世の中には色んな人がいるなあ」と偏差値が高い自称エリートの皆さんにも、「生物の多様性」を知らしめるためにも、美術科はあった方がいいんですよ、そうですよ。

美術科は校区が設定されない科だったので、県内全域から生徒がやってきてて、クラスの1/4は下宿通学生という状態でした。
なので歳の割に大人びるというか。
早く大人になる人が多かったですね。
今の時代からは信じられないでしょうが。
当時は「中学を卒業したらもう大人」って感じが基本にあって。

高校生になったら自分で基本、なんでもやる。
就職や進学も自分で探して自分で決めて、予備校も自分で選んで集中講座に通うために東京に1ヶ月ほど一人で滞在する。とか。
そんな感じでしたね。
現代のわが子を見ていると隔世の感がありますが。

まあ、たった一クラス40人限定とは言え、「アートで身を立てよう」って人ばっかりですから、かなりエキセントリックなクラスであった事は確かですが。
高校三年間、クラス替えもなしで特別なカリキュラムのもと、ふんだんにお金をかけて貰いながら(その後大学に入って、彫塑用の設備とかは高校のほうが数段良かったの驚愕した)育まれた「何か」は多分、未だに残っている気がします。
変わり者が自分の好きなことで輝ける世界。

きっと時代が変わってもそんな世界は残っているはずなんですよ。
今は不況でアートなんてお金のかかる必要のないものはお呼びのない時代かもしれませんが。
少なくとも熊本からアートの火を絶やさないで欲しいと願うのは老人のエゴでしょうか。