山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「LOSTMAN GO TO YESTERDAY」レビュー その7

この「FAKIN' IT」はサイモン&ガーファンクルのカヴァーなんですが。
「コレを一発録りで行こう」と提案したのはプロデューサーの吉田仁さんのアイデアだったと思う(めざにゅーのインタビューだったか?で山中さわおが語っていた気がする)けど、確かに、ピロウズのキャラクターに「一発録り」というスタイルはとても合っていると思います。

ピロウズのライヴを見て、ナニに最初に驚くかというと、「CDと全然違うジャン」という事。
「CDより格段に演奏が良い」という事です。
つまりそれはピロウズが持つ最大の魅力、「独特のノリ」がCDでは再現できてないという部分。
一つの曲の中でも緩急自在というか、テンポがどんどん変わる__極端に言えば、リズムが一定ではない(気がする)のが「独特のノリ」の正体だと思うのですが、それらが全て「あ・うん」の呼吸で起きます。
多分、ソレを司っているのはドラムのシンちゃんなんでしょうが。
この人が天性に持ってる独特のグルーヴ感こそが、その核にある気がします。

それを最も確実に引き出すのが、一発録りというスタイルなんですね。
この曲以降も、「When You were mine」も一発録りのようですし(未確認だけどおそらくそうだと思う)、ルースターズのトリビュート盤でカヴァーをやった時の「good dreams」、アルバム「ペナルティ・ライフ」のシークレットトラックとして収録されている「ぼくはかけら」等々。
どうもバンドとしてのターニングポイントに立つ度に「一発録り」は行われているような気がします。

おそらく、「本来のバンドサウンドに立ち返る」「自分たちの本質を見直す」という時に一発録りは行われていますね(妄想)

そしてこの「FAKIN' IT」が、あの「凝りまくって素材を台無しにしてしまった名曲」の「tiny boat」の次のシングル「ストレンジカメレオン」のカップリング曲であったというのは、とても示唆的であると感じます。
しかも「tiny boat」のカップリング曲は、あまりにもアレンジが凝りすぎてて、昨日の日記で「調味料過多」とワシが思わず悪口を書いた(--;「パトリシア」ですしね。
この二曲「パトリシア」と「FAKIN' IT」はものすごく対照的(「tiny boat」と「ストレンジカメレオン」がとても対照的なのに匹敵するぐらいに)です。
是非、聴き比べて下さい。
この一点にまさに「シフトチェンジの瞬間が見える」と言っても過言ではないくらいです。