山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」を見る

色々と評判は聞いてた(けどなかなか重い腰を上げてまでレンタルしようとはしなかったw)北欧の映画「ミレニアム」が無料放送でやってたので録画して見ましたよ。

最近、デビッド・フィンチャーが監督してハリウッドでリメイクした__てのは知っている程度の基礎知識。
あとは犯罪映画ってことくらい。
ワシ的に北欧といえば…予想外に高い犯罪率とか。虐待やレイプも多い。
福祉国家で地上の楽園と思ったら大間違い(ガチのデスメタルとかにソレは顕れている気がする)
まあ、正直、「かもめ食堂」とは逆ベクトルのイメージですね。
そんな北欧の犯罪映画って。
面白そうじゃないですかー。

この映画はハリウッド版が今大ヒット上映中なんで説明の必要もないと思いますが。
あるジャーナリストが大企業のオーナーから行方不明になった姪を探すように依頼されたことから始まる物語です。
このオーナーは愛する姪が一族の者の誰かに殺されていると思ってて、その真犯人を探して欲しいと頼むのです。

事件が起きてから既に40年以上経ってて。
そんな大昔の出来事に証拠や手がかりが残っているのか?と手探りで調査をはじめるうちに。
保険会社の凄腕調査員(実はハッカー)の「ドラゴン・タトゥーの女」が加わり、この謎めいた事件を解き始めるとジャーナリストはやがて命を狙われて。
実は終わったと思った事件は終わってないのでは?現在進行形では??と思わせるミステリーっぷりがドキドキハラハラな映画に仕上がっております。

しかも調べていくうちに次々とあらわになる真実が実に陰惨で北欧っぽい(偏見w)
美しいスウェーデン大自然をバックに猟奇殺人が淡々と語られるってのが、とっても新鮮だわー。
大げさではない、地味な語り口で。この恐ろしい事件をぼそぼそと小声で語っているような雰囲気が、興味深い作品になっております。

スウェーデンの歴史(ナチスゲーリングの妻はスウェーデン貴族の出身)や社会的な背景(実は犯罪が多い)を知っているともっと楽しめるかも。

ま。そんな事を抜きにしても。
実にこの映画は「映画的」でありまして。

事件の手がかりを探して当時のお祭りのパレードを写した古いネガフィルムを調べているシーンが実に圧巻。
探す対象をそのフィルムの中に見つけて、連続写真で見せるシーンとかもう。

コレが映画だよな!!」という興奮に溢れてて素晴らしいです。

古いフィルムから亡霊が現れて。動いて犯人を指し示す。そんな印象がするほど。
一瞬、「この映画ホラーだっけ?」という感慨にとらわれるほどの良いシーンです。
「ものが動くこと」の興奮。
「目が合うこと」の興奮。
それを実に鮮やかに切り取ってこの映画は見せてくれるんですね。

「あああ、そうだよ、リュミエール兄弟!!」
これこそが映画の興奮だったんだと、改めて思い出させてくれる名シーンです。

とにかくやたらめったら面白くて。
「こんなに面白いコンテンツってまだあったんだ!」と目から鱗がとれましたw
おすすめ。
是非、ご覧になって。