山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

悲しい知らせ

昼前に、ちょっくら掃除機でもかけておくか?と、窓を開けて、掃除機をガーガーやっていたら、ガス屋さんのボンベ配送車が山道を上がってきた。
「アレ、今月は早いな?正月を挟んだから、ガスの使用量が多かろうと早めに来たのかな?」くらいに思ってガーガー掃除機をかけ続けていた。

いつもだったら、ボイスがガス屋のオジサンに「ワンワン!」と吠え、オジサンが口笛を吹いて手押し車にボンベを乗せて裏に回って、「こんにちわー!」と二階のワシに声を掛けていく。
で、ワシも顔を出して、お孫さんや娘さん連れで来られていたら、下りていって遊び相手や話相手になったりしていたのだが、今日はさっさとボンベの交換だけして帰って行かれたみたいだった。

「アレ?忙しいのかしら??」と思いながらも大して不自然にも思わず、そのまま掃除機をかけていたら、ダンナが二階に上がってきた。
そして、「大変なことだよ」とワシに言う。
「?ナニが?」と掃除機片手に答えるワシ。

「ガス屋のオジサンが亡くなったってよ、心筋梗塞で」
思わず、「はあ?」と答える。
だって、年末、ダンナと娘達が車の大掃除をしている時にウチに来て、
「ナンデ年末だとみんな車の掃除をするんですかねー?」とかひとしきり話して帰って行ったのに。
「じゃあワタシも家に帰って車くらい洗うかな?」とか言いつつ帰って行かれたのに。
じゃあ、アレが今生の別れだったって言うこと?

このガス屋のオジサンは、前に住んでいたマンションの近所のガス会社の人で、家を建てるときの打ち合わせで10年ほど前に初めて会って以来、ナニかと世話になり、親切にして貰った方だった。
引っ越したら毎月、プロパンのボンベの配達に来られ、言葉を交わし、ガス台が調子が悪いときも、お風呂の種火が原因不明で消えちゃった時も、夜遅い時間でも駆けつけてくださって、メンテナンスや修理に奮闘していただいた。

とても子煩悩な方で、まだ50歳そこそこなのに、お孫さんも二人居て、そのお孫さんを連れてよく配達に来られていた。
お孫さんは子鬼の一つ上の女の子と、一つ下の女の子。
「猫ダッコする?」「わんこ、撫でてみる?」とか言って、ガス屋さんの仕事が済むまで一緒に遊んで過ごした。
あんなに家族を大事にする方だったのに、残されたご家族の悲しみはどれほどだろうと思うと涙が出てきた。

オジサンの色々な優しい言葉を思い出しては一日中泣く。