山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

おじさんの一人Perfume

先日、弐号機ちゃんにこう聞かれました↓

「お母さん、なんで今更突然平沢進にはまったの?」とね。

ワシは答えました↓

「いやあ、もともと40年前、母は平沢進のファンだったのよ。で。ながーいブランクがあって、久しぶりに去年の夏、フジロックで見かけたらなんだかどえりゃーことになっててびっくりして、聞かなくなった後の作品をちょっと履修しなおしてみたら、まんまとハマりましたのですよ」

(ここでワシが偉いのは、彼女の父親が平沢進がいたP-MODELコピーバンドにいたとかいう余計な情報は口にしないところである)

「ふぅーん…なんか変わった音楽だよね…」と弐号機。

 

そう、人呼んで(ってか平沢進が自称している)「ステルス・メジャー」(目には見えねど有名人みたいな意味か?)

そもそも、CDもDVDも何枚もリリースされているのに、普通の流通には乗ってない。お店で売られてない。

彼自身の独自の販売ルートでそれらを売りながら、どのシーンにも属せず、まさに「オルタナ中のオルタナ」「オルタナの極北」のような存在です。

それゆえ、一般的にはその名も代表作も知られてない、無名の音楽家なはずなのに、いざライブをやったりするとファンがどこからともなくわらわら湧いてきて喧しい。

アタナがなにげなく口ずさんでいるアニメやゲームや映画のテーマソングやCMソングもそのステルス・メジャーの手によるものなのかもしれませんね。

そしてその存在は、善良なる一般市民にはほぼ知る手立てもよすがもないと言うのに、何故か、音楽家平沢を知る人はちゃんと知ってて、実はかなりの数の日本人に愛されているという不思議な存在です。

 

ライブでは高いところに登ったり、グラインダー(電動工具)で音楽を奏でたり、ステージ上で雷を落としたり、大声で歌ったり、ギターを掻き鳴らしたり、怪しげな人力駆動の車輪を回したり、レーザー光線を素手で遮ったりなさっておられます。時折、助手が日本刀でレーザー光線をぶった切ったりもしておられます。

 

最近公開されたインタビューも面白いので併せてどうぞ↓

「十周年期を超えた平沢進が示唆する未来」https://qetic.jp/interview/hirasawasusumu-feature/343867/

 

ワシはよく、平沢進を「音楽の機織り職人」とか「おじさんの一人Perfume」と言うのですが、誰も賛同してはくれません。

だってさー。

レーザーハープだって、レーザー光線を遮るのは人差し指で「ピロピロピロピロ」と簡単にやっちゃえばいいのに、まるで振り付けのように、偉大な指揮者のように、右上で拳を作り、左上では手のひらを上にして仰ぐような動きで連続してパタパタし、目の前のレーザー光線は手刀で遮り、とかやってんですもの。

明らかに「舞台映え」を意識した動きでしょう?

その合間合間に車輪を回して発電し、様々な音の壁を生み出しては「まさに自転車操業!」みたいなスタイルですから面白いですわ。機械が演奏しているのに、それを操るのはめちゃくちゃ人力なんですね。

(そういえばテクノポップ時代から平沢進は電子音と肉体の競合_「融合」じゃなくて「競合」みたいな音楽だったやたら汗かいてたし)

エレクトリックな打ち込み音とそれにシンクロする振り付け、メロディアスで実はPOPってほぼ音楽的にはPerfumeじゃないですか。

しかもこの一人でPerfumeやっているおじさんは、打ち込みに合わせてギターもガンガンかき鳴らしちゃうし、曲によってはピート・タウンゼントみたいに風車弾きするし、生歌だって披露しちゃうんですからめちゃくちゃお得ですよ!!

ぜひ、一度お試しください…