山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「空の拳」 角田光代

と言うわけで。角田光代にはまってて読破中であります。
地元図書館で借りてきた本「空の拳」
「くうのけん?」「そらのこぶし??」
なんと読むかはわかりませんが、とりあえず借りてきました。

お話はこんな感じです↓

東大を卒業したあと、念願かなって出版社勤務となった空也(くうや)くんは、上司から借りたポルノグラフィティのCDを褒めなかったばかりに、希望した文芸部には着任できず、何故か出版社内の窓際的ポジションの隔月刊ボクシング専門誌へと飛ばされてしまう。

生まれて初めてボクシングと出会った空也くん。
勧められるがままにボクシングジムにも入会してしまい、運動音痴なのにボクシングを始めてしまう。
そこで出会った若いボクサー、タイガー立花。
真面目かと思うとぶっきらぼう。しかし一旦リングに上がれば、試合では人を引き付ける魅力に溢れ、なんとも心惹かれるタイガーの存在に「書きたい」という意欲を掻き立てられる空也くん。
そこで初めて知ったタイガーの壮絶な生い立ち。
「コレは密着記事だ!」ジャーナリストの血が騒ぐぞ、よーし総力特集もやっちゃうぞーー。」
ところがこの記事がとんでもないスキャンダルへと発展していくのだった。

角田光代自身が大学生の頃からボクシングジムで体を鍛えてて、ボクシングの興奮も喜びも実は自分の肉体の言語として知っている人なんですね。
なので、ボクシングのシーンが異様に熱い筆致で描かれます。
素人目にはもうなにがどーなったのやら目に見えない瞬間のパンチの応酬の様子、興奮する観客、熱狂に包まれるボクシングの試合会場。

女性がこんなスポーツ小説を書くとは思ってませんでしたw
しかもコレは青春小説であり、空也という大学を出たばかりの多分、童貞の青年が。自分の知らない世界で今まで触れ合ったこともないような人たちに囲まれ、揉まれて成長する物語となっております。

恋愛要素が一切出てこないのもいっそすがすがしいw
そしてこの小説が日本経済新聞の夕刊に連載されてたというのも目覚ましいですね。
あの新聞は死ぬ寸前のお祖父様がたがもう一度肉欲に溺れる日々を懐かしむように(ワラナビ)ずんいちセンセエのエロ小説を朝から重役室で読むようなものかと思ってたので、目からうろこでしたw