山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

"No Thyself" Magazine

あんまり話題が古くなる前にちゃんと感想を書いておきますね。
マガジン30年ぶりの新作「No Thyself」のレビュー、書きまーーす!

・Do the Meaning
こんなクールなカッコイイ、マガジンらしい曲が一曲目だなんて嬉しくなってしまうじゃないですかー(・∀・)
内容は現代人の都会の憂鬱みたいな感じ?(ウロな感想)
おじいさんになってもなお、ハワードはハワードだったという証拠のような曲。
Nokoのヒステリックなギターが冷静で端正なキーボードの音と相まって、「マガジンは21世紀にも生きることが出来るバンドである」と宣言しております。
ある地点から進化することを諦めたU2とかとはソコが違いますね<喧嘩売っている!?

・Other Thematic Material
なんでこんなエロい曲が二曲目なのか真意を知りたいですが(もっと後半でもいいじゃない〜)
なるほど、この高まる鼓動のようなドラムとキュンキュン鳴るシンセが「官能」の表現なんですね。
こういう即物的な歌は30年前にはなかった気がします(気のせい?)
「おじいさんになったからこそ歌える」ってことなのかも(妄想)
しかし、この曲はバリー・アダムソンならどんなベースラインを聞かせてくれるんでしょうかね?その一点がただ、気になります。

・The Worst Progress....
ピンクフロイドキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!! って感じですがw
かつて「労働者階級のピンクフロイド」とか陰口を叩かれてたバンド=マガジンの面目躍如とも言えるのかもw
ただ、ピンクフロイドよりストイックですけどね。
あまり古臭さは感じないのは、単にワシが年寄りだからなのかマガジンが単純に「流行とは関係のない音楽をやっているから古びない」だけなのか??

・Hello Mister Curtis(with apologies)
このアルバムには二曲人名がタイトルになっている曲があって、その一つがコチラ。
これは多分、自殺したイアン・カーティスの事を歌っているんだと思うけど(想像)
あと、「Mister Cobain」とも歌っているので、「自殺した人たちに向けた歌」らしいのですが。
実際、ハワードは生き延びて(音楽業界を引退してまで)おじいさんになっちまったわけで。
ある一時代を築いた(若くして自死した)人たちとハワードの差は何だったのか?多分、「売れなかった」つーその一点のみ(:D)| ̄|_なのではかいかなーと(冷血)
でも、ハワード。生きててくれたお陰でマガジンの新作が出たじゃないですかー。

・Physics
珍しいハモンドオルガンのメランコリックなソロが聞ける異色作。
こんな芸風は若い頃はなかったはず。
こんな曲もちゃんと出来る。恥ずかしがらずに世に出せるようになったというのは、バンドの伸びしろがまだまだあるよー!ってことだと想像します。贔屓目?

・Happning in English
このドラム、このキーボード。
マガジンの3rd「Correct Use of Soap」(名作)の延長線上にあるような曲で嬉しくなりますね。この曲があの3rdに入ってても違和感がない気がします。
「なるほど、マガジンは中断したわけじゃない。続いているんだ」とわかる瞬間です。

・Holy Dotage
これがまたwマガジンの1stに入っててもおかしくないような曲でw
「実はマガジンは全然変わってないんですよ!」と宣言するような曲です。
でも、こんな曲でもイギリスの客は踊らないんだろうねー。日本においでよマガジン。踊ってやるからよ<喧嘩を売っているわけではない(念のため)

・Of Course Howard(1979)
人名タイトル曲二曲目。
ハワードおじさん自身の名前を冠した曲です。
1979年になにがあったのかはワシは知りませんが。
まあ…正直、音楽業界でやっていくには繊細過ぎる人でしたっけね。ただの呑んだくれって部分もありましたが。
でも、ハワードのお父さんが急死なさることがなければ、もしかしたら、マガジンはもっと続いたバンドだったのかも。
そうだったらきっとこの30年ぶりの新作も出なかったかも。
そう考えるとめぐり合わせの不思議さに、人生の不思議さに打たれてしまうわけでして。

・Final Analysis Waltz
マガジン、ワルツとか好きですよねー。3拍子の曲がロックのくせにNWのくせにあるのがマガジン。
しかもこの曲は初期のロキシーっぽいw
そういえば、マガジンはデビュー当時さんざんロキシー・ミュージックとの類似点を指摘されてましたっけね。

・The Burden Of A Song
このアルバム最終曲を飾るのは「オレはまだやるぜ」みたいな宣言曲でw嬉しくなるわw
しかも「これぞマガジン節」みたいな楽曲で。
たまたまの偶然から再始動することになった「世界中のどこでも売れることのなかった偉大なバンド」マガジンの決意表明曲であります。
最高じゃん。

(まとめ)☆=5
長く聴き続けるアルバムになる予感満々の本作。
30年という時の流れを良い意味で感じない作品であります。
今やエレカシすらもがセルフパロディのバンドに成り下がっているというのに(喧嘩売っている!?)マガジンは30年ぶりの新作なのに、「昨日の続き」みたいな感じで、バンドのその先を見せてくれる。
この衰えることのない創作意欲にひたすら敬服。
「Magic, Murder, and the Weather」はなかった!って方向で一つよろしく…