山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「ニーチェの馬」

「ニーチェの馬」GyaO!で無料配信されてたからなにげに見始めたら超面白くて釘付けになった映画でした。

そもそもは「1889年トリノ。(哲学者の)ニーチェは鞭打たれ疲弊した馬車馬を見つけると、駆け寄り卒倒した。そのまま精神は崩壊し、二度と正気に戻ることがなかった」という逸話がありまして。
その馬の生活?背景??を想像して作られたと思しき映画であります。

ハンガリーの強風吹き荒れる原野に片腕の動かない父親と幸薄そうな娘が二人で暮らしております。
娘は毎日、父親の着替えを手伝い、グラスに一杯の焼酎を飲ませ、じゃがいもをまるごと茹でて手づかみでモソモソと食べ、外にある井戸に水汲みに行く毎日を送っておりました。

そんな日常の繰り返しの中で、何か不穏な事件がこの荒れ地のくぼみに立つ一軒の家の外の世界で起きていることが徐々にわかってきます。
その絶望の中で人はどう生きるのか?がテーマだと思うんですが。
長回しだし、地味ーだし、モノクロだし、セリフ殆ど無いしで多分、苦手な人には苦手な映画だと思うけど。

ほら、
ワシってタルコフスキー信者だから!!
断然、面白かったよ(≧∇≦)b

ある意味、「裏ストーカー」みたいな作品です。
タルコフスキーの「ストーカー」を未来への光、人類の新しい夜明けを告げる映画だとしたら、この「ニーチェの馬」は。
人類の終焉を描いた映画です。こんな19世紀のドキュメンタリーみたいな体裁を取りながら、実はSFなんですよ!w
19世紀のヨーロッパの農家のドキュメンタリーみたいな映画と言えば、「木靴の樹」を思い出しますが。そう言えば、「ニーチェの馬」はあの映画にも似てますな(ワシは「木靴の樹」も大好きな映画で「ファニーとアレクサンデル」を見るまでは「木靴の樹」が堂々ベスト1映画だった)

お好きな方はお好きになれる映画だと思います。
以下、予告編と、本編を貼っておきましょうぞ↓

映画『ニーチェの馬』予告篇


ニーチェの馬」本編


余談=そう言えば、「ニーチェの馬」てタイトルはちょっと面白いですよね。
フーコーの振り子」とか「アルキメデスの風呂桶」とかそんな感じ。