山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「LOSTMAN GO TO YESTERDAY」レビュー その5

そういえば、「タイニー・ボート 三番勝負」とタイトルをつけて 六回に渡ってアレコレ書いたのは、もう去年の夏のことだったんですね(早)
※2006年8月11日?8月13日の山麓日記帳を参照のこと

このシングル盤「tiny boat」は全然好きじゃなかったんですよ、実はワシ(^^;
だって、演奏が全然ピロウズらしくないんですもの。
ギターの音よりハモンドオルガンの音が前に出てきて、ピロウズらしさを殺しています。

あのメロディと言葉が一体となって、コロコロと転がり初めて、どんどん滑り出して加速して、「もう、どうにも止まらない!」って感じのグルーヴ感に突き動かされる。
そんな「ピロウズ節」がこのシングル盤では殆ど見受けられないんですよ。

「なのに、なんでこのシングルが、今は手に入りにくいってダケの理由で、オークションで●万円とか値段がついちゃうの?それって、全然健全な事じゃないわね」

まあこのシングルは、ピロウズが珍しく、人の意見を聞いて聞いて、散々取り入れた挙げ句、全然売れなかったという理由で結果的には、ピロウズの一大変換期を引き起こす引き金になったんですけどね。
「いやあ、コレのおかげで一皮むけてヨカッタよ」
なんて今になれば言えることですが、当人達は当時、相当ヘヴィな思いをしたようで。
しかし、この話はまた別の話。

つまり、ワシはシングル「tiny boat」は全然好きじゃなかった。と。
で、このシングルBOXで改めて「tiny boat」を聴いてビックリ。

「全然違う印象だし」(^^;

ギターの音がバーンと前に出てきて、オルガンの音は殆ど聞こえないくらいに押さえてあります。
「おお、リマスタリングの威力がココに!?」
一番のピロウズの特徴であるドラムの音も強調されています。
それにより、曲全体の印象が随分と変わりましたね。
なるべく音の数を減らし(?)シンプルに実際のピロウズの楽器編成に近い音にまで整理してあるようですね。
その結果、「余計なモノを削ぎ落としたバンドサウンド=ピロウズらしさ」となっています。

シングル盤「tiny boat」ではアウトロの部分でしかピロウズらしいドライヴ感が出ていなかったのに、このBOX SET版では音を整理することで本来のピロウズが持つ「ノリ」を再現したんですね。

「このリマスタリング、音があんまり良くなくて好きじゃないけど、このミキシングだけは素晴らしい仕事だわ」<いつも一言多いのがワシ