山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ピンヘッドも可愛い

とまあ、1980年代初頭はそんな風で「見たい映画を観るのも一苦労」な時代でしたトサ。
今は殆どのソフトがDVD化されているし、されてなくても探せばドッカにVHSビデオテープが存在する筈だし。
まあ、良い時代になったもんです(歴史の生き証人)

そしてその映画の上映会が終わった時には、ワシら三人(ワシ、ダンナ、ギタリスト)なんか熱に浮かされたみたいに「ぼぉわぁ??ん」となってしまいまして…。
多分、その「ぼぉわぁ??ん」の理由は、映画の内容も結構ショッキングで(なんせ若くてナイーブだったもんで当時)、話題のラストシーンのショック場面も相当キテまして。
映画の毒気に当てられたとでも申しましょうか?

上映会が終わったらお茶も飲まず寄り道もせず、ワシ、ダンナ、ギタリストの三人は病み上がりの人のようにフラフラと店を出て、そのままギタリストの車に乗り込み(当時、車を持っている友達なんて2人しか居なかったぞ)その帰り道。
このギタリストが運転する車でアパートに帰っていたら、なんと国道で接触事故(追突)を起こしちゃって、ビックリしゃっくりだったのである。

まあ、その原因は、多分映画にあるんだけど。
この三人が映画が終わった後、妙に無口になっちゃった理由って、衝撃のラストシーンの意味をアレコレそれぞれが己の頭の中で反芻してたからなのね。
で、ちょっとそのままボーとし過ぎてて、ギタリストが赤信号でブレーキを踏むタイミングが遅れたと。そんな事情の事故だった。

慌てて車から跳び出して、前のトラックのオジサンに平謝りに謝ったら、バンパーが凹むでも無く(ものすごーくゆっくりぶつかったのがヨカッタ様子)お互いの車に傷も無かった(勿論人にも)ので、その場で許してもらいました(今にして思えば、オジサンいい人!!)

「なんか、物凄い映画を見た後、物凄い事になっちゃって」(事故車両に乗り合わせた経験はコレが初めてだった)とワシは思わず呟いたのだった。
そしてその後、「エレファントマン」のブーム(?)が起きたりして、なんか「ハヤリモノ」っぽくなってしまったのだが。
今にして思えば、なんとも不思議な映画だった>「フリークス」

身障者を差別するでもなく、社会から見えない場所に隔離するのでもなく、その職能(?)を活かしてエンタテインメントに昇華して見せて、しかもなんとも愛情溢れる視線で記録に残したという作品である。