山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

フリークス

てな訳で、上映会は始まりましたよ。
お客さんは特別上映前にお互いおしゃべりをするでも無く、主催者側から、特別な映画の解説とか紹介が事前にある訳も無く。
粛々と、沈黙のまま、「秘密結社の集会」みたいにして、時間通りに上映は始まりました。

ココでちょっと解説。
この映画「フリークス」は1932年。アメリカの映画監督トッド・ブラウニングによって撮られた「娯楽ホラー映画」です。
このブラウニング監督、元々はサーカス小屋で働いていたとかいう前歴の持ち主。
そう考えれば、「当時、世界中のサーカス団で人気者だった身障者を集めて映画を一本作る事」はごく当たり前の事だった?という気がします。

はい。そんな映画なんです「フリークス」
もう、不謹慎ココに極めリな映画です。
話だけ聞くと、「ま!身障者を見せ物にしてお下品!!」な映画に思えますが…
まあ、なんと言いますか。
この映画の中で演技している身障者達は、モノホンの当時のサーカス業界の有名人ばかりでして。
なんとも生き生きと生活してらっしゃる様子とかが、なんか。
こう言う言い方は変ですが、「実に魅力的」です。

いわゆる「奇形」と呼ばれる人たちが、生き生きと動き回って、不具合なんてドコにも無いよとばかりに_手足の無い男性が口だけでタバコをくわえて火をつけたりする。そんな映画です。

まあ、お話の中身は「勧善懲悪もの」と言いますか。
このサーカス団の小さい男の人が、サーカスの人気者である花形の空中ブランコ乗りの女性と婚約するのですが、このブランコ乗りの女。
実はトンデモナイ悪女で、最初から自分の愛人と共謀して、小さい男の人のお金を狙っていたのだ!というお話です。

その陰謀に気がついたサーカスの仲間達が、嵐の夜に…という怒濤のラストシーン。
どうも、コレがイカンかったらしいですが。
公開当時、アメリカの観客に失神者が続出。
映画もどうにもこうにも興行成績が悪くて、結果、ブラウニング監督はこの映画の為に監督生命を絶たれる事になるんだからオソロシイ。

実はこの映画、ワシはこの時に一回観たっきりで、再見のチャンスには恵まれてないのだが、今になって思い出されるのは、
素早川胸像(と、山下洋輔命名した下半身の無い男性)さんの見事な腕だけでの走りっぷりとか美しいまなざしとか。
シャム双生児の姉妹の可憐な姿_とかだったりする。