山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

サム・ライミを語る5

確かに昔から、その予感はあったのだ。
なんせその作風には以前から、「アメコミ(アメリカンコミックス)ファンを支持している気配」があったし(今はともかく、10数年前までは「ダメ人間が愛するもの」という意識があった気がする>アメコミ文化)、サブカルチャー系への深い愛情とか、シンパシーを感じる事が多かった。
「もしかしてサム・ライミって貧乏人の味方?」と思わせるものは確かにあった。

そして「シンプル・プラン」(1998年)http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=6142サム・ライミは ついにその本性を現す。
アメリカの田舎に住み、最低な生活を営んでいるクズ白人達を描いたこの作品。
これでサム・ライミは、凡百の犯罪映画を越えたテーマを示して見せるのだ。
たまたま手に入れた大金を巡って、寒村に住むつましい暮らしの人たちがその人生を運命によって翻弄されてゆくその軌跡。
深い悲しみと共感を持って物語を描きながら、ライミ監督は人間の本質へと迫ってゆく。

コレは、似たようなテーマ(寒村のつましい生活を営む人たちが犯罪に巻き込まれる)を持つ映画、「ファーゴ」(1996年)http://cinema.intercritique.com/movie.cgi?mid=358と比べると面白いと思う。
しかも監督はサム・ライミの盟友ジョエル・コーエンである。
ジョエル・コーエンはライミ作品の「XYZマーダーズ」の脚本を書き、ライミ監督はジョエル・コーエン監督作品の「未来は今」の脚本を書いている)

こなた「ファーゴ」は田舎で起きた殺人事件を巡って妊婦の女性警察署長が、デカイお腹を抱えてふうふう事件の解決に奔走するという話しなのだが、なんともこの北国の荒涼とした風景と、人心のすさみ具合がまんまとシンクロしてしまい、見た後に物凄く、「イヤ??ンな感じ」が残る作品であった(妊婦姿の女性警察署長がいなければこの陰惨さにはとても目を開けてられないような、「怖いわね、アメリカの田舎って」な内容である)

そして同じ「北国を舞台にした犯罪映画」をライミが撮ると、果たしてそれはどうなったのか?
それは見てもらうのがイチバンなんだが(<コラ)しかし、あえて言うならば、
「ライミ、偉いよアンタ…」と涙に暮れてしまう、思わずの感動作品に仕上がってしまったのだ。
あ、また字数が尽きた。
この項、まだまだ続くー!