山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

赤ちゃんは無事です。

夜になって、やっとよりちゃん(弟の嫁)と連絡がとれた。

赤ちゃんは今日から、自力で呼吸が出来るようになったとの事。
まだ、心配なので人工呼吸器は外せないが、数日中には外せそうとの事。
一つの山は越したようだ。

ヨカッタ。
取り敢えず、今すぐ死んじゃうことダケはなさそう。
でも、人工呼吸器をつけて、4本の点滴を身体に入れ、鼻からチューブを胃まで通している姿は、可哀相すぎて見ると涙がダラダラ出ちゃう(よりちゃん談)とか。
当たり前。
自分がチューブ入れてる方がナンボ楽か。

ワシなんか、せちたろーが生まれて5日後、黄疸治療のために24時間の
紫外線放射治療を受けたとき、その、
「全裸でアイマスクして泣き叫ぶ我が子の姿」
に身を切られる思いがして、ガラス越しに見に行ってはダラダラと涙を流していたのに。
そんな、今になって思えば命に関わるほどのことでなく、24時間後にはこの手に抱けると判っている状況でも、辛くて悲しかったのに。
よりちゃんと弟の悲しみはいかばかりか・・・

弟は「俺が毎日、風呂に入れてるときにディープキスしてたのが悪かったんだあ???」と言って、自分を責めていたらしい。
思わず、笑ってしまったが(毎日風呂でディープキスしてたんかい?)、この病気、空気感染らしいので、一体どこから感染したのか判らない。

「子供の病気は親の責任」なんて残酷なことを言うヒトが良くいる。
でも、親は子供が病気になったって事で、十分に自分を責めているのだから、そんな追い打ちをかけるのは残酷極まりないことだ。

「今回の病気は、たまたまの感染で、誰も悪くないの。誰の責任でもないの。運が悪かったダケなの。そこに深い意味なんてナイの。決して自分たちを責めないように、あなた達のせいで病気になったわけではないし、赤ちゃんのせいでも、誰のせいでもないの」と強く言い含める。

病院には弟と交替で泊まり込んでいるらしい。
二人で一緒に泊まり込めれば良いのだけれど、病院の規則でダメ。という事。
看護婦さんも「あなた達の気持ちは痛いほど分かる。でも、ゴメンね」と言ったらしい。

よりちゃんも心配で夜眠れないらしいので、「残酷だけど、よりちゃんが起きてるからって、赤ちゃんが治るワケじゃないから、寝なさい。アナタが倒れちゃう。寝ないと母乳も止まってしまうよ。今夜は弟に任せて、アナタは家でゆっくり寝るの!」とキッツイ小姑になって、言う。