山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「午後の曳航」「色即ぜねれいしょん」

GyaOの無料映画で「午後の曳航」と「色即ぜねれいしょん」が配信されてたので、早速見てみましたよ。

・「午後の曳航」1976年

原作三島由紀夫のワシが子供の頃は「トラウマ映画」として名を馳せてた一本でございます。
人からの話として聞いてただけの映画で。
まー、内容も怖いこと、恐ろしいこと。コワイデスネーイヤデスネーマーナンテエイガデショウ(淀川長治御大の口調で)なものらしいんですけど、自分では見たことがないので、人々が口々に「恐ろしい映画」と言うので、「ま、そうなんだろうな」と思ってた物件であります。



原作は日本が舞台ですが、映画ではイギリスの港町が舞台になってて、登場人物もイギリス人やアメリカ人に置き換えられております。
父を亡くした少年は母と二人暮らし。二人で静かにつましく暮らしております。
しかし、主人公の少年は、学校では恐ろしいくらいに頭脳明晰で残忍な性格の美少年の「しもべ」として暮らしています。

巨大な貨物船を見学に行った時にアメリカ人の航海士と知り合い、未亡人である母はその航海士と恋に落ちてしまいます。
主人公の少年の憧れをすべて持ってたアメリカ人の航海士はやがて陸に上がり落ち着いた生活を望むようになります。
海で嵐や様々な危険と戦う男の中の男だった姿を脱ぎ捨てて、つまらない、一介の普通の父親に社会人になろうとしているのです。
それが許せない主人公は自分のボスである残忍な美少年に相談し、その堕落した航海士に罰を与えることにしたのでした…

いわゆる「文芸ものソフトポルノ」みたいな印象の映画で。
昔は純文学こそ一番ポルノに近かったんですよねえ(パゾリーニとか←パゾリーニに対する風評被害
クリス・クリストファーソンのお尻が綺麗な映画でした。
当時、彼は西部劇だろうと現代劇だろうと脱ぎまくってた印象…w文芸作品でもすべてを脱ぎてておりますw

あまりにも内容がインモラルなんで(特に猫殺しのシーン)絶対、地上波では放映できない一本です。

・「色即ぜねれいしょん」2009年

みうらじゅん原作の映画です(監督は田口トモロヲだ!!)
原作が好きで(同世代なんで、みうらじゅんの気持ちがよく分かる)映画化された時に「面白そう」と思ってたのですが。
うむ、確かに面白かったです。

ヤンキーが群れ集う京都の私立仏教系高校。
ボブ・ディランに憧れててギターを弾いたりするものの。これといった事件も起きず、なにも目標がないまま、ぼんやりと一人っ子で甘やかされて育っている主人公が、夏休みに同級生にそそのかされて「夢のフリーセックスアイランド」に出かけてそこで_というお話です。

主演は黒猫チェルシー渡辺大知くん。この役がピッタリw
彼の人生の師匠ともいうべき、ちょっとした大人の世界を見せてくれる兄貴分みたいな役を峯田和伸(銀杏BOYZ)と岸田繁(くるり)が演じてて、すごく良いのですよ。



まるで渡辺大知くんにアテガキされたかのような脚本と内容。
大人になる寸前の、少年の面影のままで演じられた奇跡の一本であります。