山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

今村昌平に感服する

で、いつものように「夕飯作りに取りかかる前に30分ほど昼寝でもするか」と寝室に入り、「じゃ、眠くなるまでコレでも見ていよう」と軽い気持ちで、寝室のDVDに録画してあった今村昌平の「黒い雨」を見始めたら…
これがまた殊の外素晴らしくて、目が冴えてしまってギンギン(☆▽☆)になってしまいw
とてもじゃないが眠れるような状態ではなくなってしまって、そのまま結局最後迄見てしまいました。

今迄、原作が原作だから、しかもあの井伏鱒二原作を今村昌平が映画化って…
なんか、激しくミスマッチな気がして、今迄見た事がなかったんですがね。

わ、ワシが、悪うございましたーーー!!(土下座)

いやー、素晴らしい!
今村昌平、こんなのもちゃんと撮れる人だったんですねw
今迄今村監督のイメージというと、赤線とか、闇市とか、犯罪とか、殺人とか、強姦とか、人間蒸発とか。
どっちかというと、「日本の土着型アンダーグラウンド社会」を描いた作品が多かった気がしてw
「こんな文芸作品が撮れるのかミポ?」と疑っていたのですが。
すいませんすいません、ワシが間違っておりました_| ̄|○orz

正直、この文芸作品を作る手腕は黒澤明より上ですよ!
見事な解釈、見事な表現。
本当に素晴らしい。「映画とはコレだー!」って感じで、心が洗われましたー。
脚本も素晴らしい、昭和を代表する役者さんたち皆さんの演技も素晴らしい。
音楽も素晴らしい、映像も素晴らしい。
なんかもう、「映画の醍醐味」がぎっしり詰まってて嬉しくなりましたねえ。

この「悲しみ」が全編を貫くテーマとして流れる中、その暗闇の中で人はどうやって生きるのか?その答えを導きだされた気がして。
深く深く感動してしまいました。

「こんな人生の達人の映画監督、もういないなあ」となんとも寂しい気持ちになってしまったのも事実ですが。
昨日、ネットで調べていたら、このワシが見た「黒い雨」は「劇場公開版」であった事が判明。
この映画には「幻のエンディング」と呼ばれる、公開直前になって今村監督が削除したカラーフィルムによるシーンが存在しててですね。
ワシはてっきりそのシーンは「永久にお蔵入り」になっていると思っていたのに、「DVDデジタルリマスター版」には入っているそうです。
きっと、このシーンがあるのと無いのとじゃ、映画そのものの意味が変わって来そうで、見るのが怖いです。