山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

黒い毛のモフモフの子猫

数日前に、仕事から家に帰ってきたら、我が家の黒猫大王(品格人格共にトップクラスの名猫)クルちゃんが、ワシが運転する車の前を「スタタタタ」と横切って行った。
普通、黒猫が目の前を過ると「すわ、凶事の前触れか!?」と人は色めき立つものであるが、我が家には黒猫が二匹も居るので、こんな風景は珍しくもない。

「なんだ、クルか。珍しく小走りなんかしちゃって、年甲斐も無い」(クルちゃん=オス・体重6.5キロ・7歳4ヶ月の堂々たるシャム系黒猫)
と思ってクルを見ると、自分が走ってきた方向を振り返って「じっ」と見ているのだ。

「ん?畑の中に何かいるの?」と思ってクルが見つめる方向をワシも見てみたら。
黒いボーボーの毛並みの子猫が一匹。ちょこりんと畑の畝の間に丸まっていた。
「ん?子猫??」と目を凝らして良く見ると、どうもその子猫はクルの後を追ってきたらしく、
「ドコに行くのよー、ニーニー」と小さい声で鳴いていた。

「クルは他人の家の子供の面倒まで見ているのか?」と思いつつ、愛車フィフィを所定の位置に止め、様子を見に下りて行くと、クルはブロック塀の上に。子猫はブロック塀の下に居た。
「遊んでやっていたのか」とそのまま家に入ろうとしたら、クルも、
「や、母ちゃん、お帰りなさい」とワシと一緒に玄関から家の中に入ってきちゃった。

「あれ?あんた、子猫と遊んでいたんじゃないの?」とクルを見とがめると、案の定、玄関の前で子猫がクルに向かって、
「おじちゃーん、もっと遊んでニャーニャー」と鳴いていた。

それを見て、ボイスが大興奮(子猫好き)
「ちょ、舐めさせて、せめて臭いを嗅がせてーー」とあひゃらうひゃらと飛び跳ねながら大喜びする。
子猫、得体のしれない巨大生物(ボイス)が自分を見て踊っているのを見たら恐ろしくなったらしく、ピューとどこかへ逃げて行ってしまった。

「ちょっと、クル、あの子ドコの子よ?」と詰問するがクルは答えない(当然)
ワシと一緒に二階に上がってきて、えさ場で自分だけカリカリとドライフードを食べていた。

そもそもクルはかなり変わった猫で。
猫のくせに人見知りしない。
お客が来ると大歓迎して、まずは膝に乗る。
見知らぬ猫が家にやって来ても、絶対に怒らない。必ず受け入れて世話をしてやるのだ(縄張りを荒らすオス野良猫は例外。コレには毅然として「我が王国を守る為」の死闘も辞さず)