山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

消える子鬼大魔術団

強い南西の風が吹き付ける一日。
せちたろー、喉ガラガラで登校。
「熱がないんだったら学校に行け」<鬼母。

子鬼を幼稚園に送って、ボイスの散歩。
麦のタネを蒔いたばかりの畑の上を飛び回るメジロの群れ。
群の色が遠目に見て緑がかっている。

歩いて海岸まで。
大きなカモメが風を掴んで空中に止まっている。
砂浜から漁協の建物の間まで人影は一つもない。

家に帰って家事三昧。
今日はクリームチーズがあったので、チーズケーキなんか焼いてみる。
手作り菓子は子供が喜ぶので、子供の喜ぶ顔みたさについつい作っちゃう

ヒルメシをダンナと食べたら、ダンナが「冬のパジャマがくたびれてきて寂しい」と言うので、しまむ●に買いに行く。
毎年、正月にはパジャマを新調するのだが、今年はソレをやらなかったモンなあ。
買い物が済んだら、子鬼のお迎え。

子鬼を連れて家に戻ったらダンナは納品に出た後だった。
せちたろーは近所の友だちと山道の途中で縄跳びをして遊んでいる。
「宿題は?」と聞くと、「後でするー」と答える。忘れないでね。

子鬼を着替えさせてアレコレやって、「は」と気がついたら、子鬼の姿が見えない。
「?」と思って探すが家中のドコにもイナイ!?

家中、くまなく探すが、やっぱり姿が見えない。
「子鬼ちゃーん!!」と叫ぶが返事がない。
しかし、彼女の靴は全部玄関にちゃんとある。
ゴムサンダルが事務所の入口に脱ぎ捨てられ居るだけで、跡形もなく姿が消えている!?

お姉ちゃんを追いかけて裸足で外に出たのかも?と思いボイスをリードに繋ぎ、せちたろーのトコロに行く。
「子鬼を見なかった?」と聞くと、せちたろー、「見てないよ!?」とビックリしている。

そうか、せちたろーが山道の途中にいるのに子鬼を見てないって事は、もう一回家の中を良く探せって事だな?と思いながら家に戻る。

事務所をもう一回良く探そうと、ダンナ愛用の安楽椅子を見ると、ダンナのコートが掛けてあった。
「まさか?」と思ってコートをはねのけると、子鬼が小さく丸まって熟睡していた。

せちたろーが「川とダムも探してきたけどイナイよ!」と言いながら帰ってきて、子鬼の顔を見て安心のあまりヘナヘナと座り込む。
探している間中、「ホントに家から居なくなったらどうしよう?」と恐怖したらしい。
あれだけ普段は喧嘩もするクセに、生活から子鬼が消えることは彼女にとって耐え難い苦痛であるらしい。