山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

張り紙の犬

ボイスと散歩していたら、突然、アプリコット色のトイ・プードルが猛然と吠え掛かってきた。
「わ、ナンダナンダ」と見ると、綺麗に毛刈りされて赤いリボンをちょんちょこりんとつけている。
足の爪は伸び放題、しかもかなり太り気味。
「飼い主に甘やかされ放題に育てられた、運動不足な犬か」(←ワシはホントに容赦ナイ女である)
とりあえず、場を納めるためにプードルの目を見てドスを利かせた声で「スワレ!!」と命令する。

プードルは大きな声で命令コマンドを出されたことがナイらしく、ビックリしてコッチを見上げている。
驚きのあまり、もう声も出ずに固まっているプードルの元へ、ようやく飼い主が走って追いついてきた。
「すいませーん」と言いながらプードルを抱き上げると、「俺の子分が来たからには、てめえかみ殺すぞ!!」とばかりに、ボイスにギャンギャン吠え立てる。
ボイスは「なんでそんなに吠えるの??」と興味津々(←好奇心が強い)、「相手にしないで」とリードを引いて従わせ、散歩を続行。
小型犬だからってノーリードで散歩するのは止めて欲しい。
ボイスは事が起きている間中、無口だった。

実は昨日獣医に行ったときに張り紙を見かけたのだ。
「12歳雑種犬(雄)・21kg・事情があり飼えなくなりました・賢くて性格がいい犬です・今は健康で元気です・あと何年生きるか判りませんが、出来れば家族として最後まで看取ってくださる方を探しています・4/17までに新しい家族を捜さねばなりません」と書かれていた。
「コレはどーいう事情なんですか?」とドクターに聞くと、なんでも86歳のお爺さんが一人暮らしが出来なくなり、老人ホームに入所することになったが、犬連れでは入所できないので困っているという事らしい。
元気で賢い犬なので薬殺するに忍びないと言っているそうだ。

「親戚の人とか近所の人とか誰か飼ってくれそうな人はいないんですか?」と聞くと、
「誰もいないらしい」との事。
白黒ハスキー+ラフコリーのような風貌の顔写真がついていた。
思わず、「ウ、ウチでごにょごにょにょ・・・」と言いそうになった(←ネルダのこと、まだ懲りてないのか!?)

という話をダンナにしたら、ダンナが「ウチで引き取ってもイイケド・・・」と言う。
「ボイちゃんも嫌がらないと思う。でも、貰われてきた犬が環境の変化や色々を嫌がるだろうな」と言う。
そうなんだよ。ソレが一番、悩ましい・・・