山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「アイ、トーニャ」

前から見たかった映画がなんとGYAOで無料配信されてたので、見てみました。

お題はコチラ↓

オリンピック最大のスキャンダル「ナンシー・ケリガン襲撃事件」を描いた、不思議な映画でございます。

なんで「不思議な映画」とワシが言ってるのかと言うと、これが実に愉快な映画でして。

不思議なユーモアをたたえた犯罪映画なんですな。

アメリカのフィギュアスケート界最大の異端児トーニャ・ハーディングの半生を描いた「偽ドキュメンタリー映画」という立ち位置が一番近い気がします。

 

サム・ライミの「シンプル・プラン」とか↓

コーエン兄弟のぶっとび犯罪映画(後にTVシリーズまで作られた)「ファーゴ」とか↓

 を思い起こさせる「クズ白人のクズ犯罪」がテーマな映画なんですな…

(「シンプル・プラン」では「本当に美しい心の持ち主は誰だったのか?」まで映画内でしっかり言及されていたので、不朽の名作となりえたわけですが)

 

なんとも言えぬ「アメリカ下層白人世帯が描くめりけん昆虫記」(つまり今村昌平の「にっぽん昆虫記」的な、底辺女の一代記的な)な味わいを持った__

喜劇映画なんですよなんと(ノ∀`)アチャー

 

ダイナーのウェイトレスの母から虐待を受けながら育てられたトーニャ。

次々と父親が変わる環境で育ち、「普通の生活」を知らぬまま、若くしてDV男と結婚し(ノ∀`)アチャー

その才能はフィギュアスケーターとして花開くも…

アメリカ人が欲する理想のフィギュアスケートってのは「美しい夢の世界」であり「素敵な理想的アメリカ人ファミリーが安心して楽しめる娯楽」なんで、「普通の生活すら知らずに育ったトーニャ」にとっては、元来「自分とは無縁」な世界なんですな…

そこが見ててかわいそうでかわいそうで…

 

トーニャにとって唯一の夢は女子として初めてトリプルアクセルを成功させ、最高のフィギュアスケーターになることなんですが。

「道は険しくとてつもなく遠い」んですよ(ノД`)シクシク

 

普段は自身もダイナーのウェイトレスとして日銭を稼ぎ、衣装代もままならず自作したりするんですけど、やっぱり審査員からの評価は得られない。だって下品なんだもん&何が上品なのか知らないんだもん(ノД`)シクシク

 

確かに、彼女が出場したリレハンメル冬季オリンピックの事とかよく覚えているんですけど…

なんとも投げやりでパワフルな滑りと、全身から醸し出される品のない味わいが独特でしたね(すまん)

 

その時の印象の理由が、この映画ではっきりしたと申しましょうか。

おそらくは細部では現実と違っているんでしょうけど。でもトーニャの心のありようとか、生育歴にも同情するにはあまりあるくらいにありますし。

 

誰も悪くない、馬鹿(シンプル)なのが悪い_という意味で。

シンプル・プラン」や「ファーゴ」の仲間入りをさせた次第でございますよ…(ノД`)シクシク←喜劇映画で泣いてる人