ツイッターを見てたら、映画関係の公式の中の人が「ジャック・タチが好きな人は見たら良いかも」と呟いておられたので、GyaOにて見てみました↓
「イリュージョニスト」(2010年 シルヴァン・ショメ監督)
ワシ…ジャック・タチが好きでして。
大学生の頃に、たまたま深夜映画で「ぼくの伯父さん」を見て以来、80年代後半にはリビングに「ぼくの伯父さん」のポスターを張り、「プレイタイム」のレーザーディスクを持ってるくらい(未だに!)にファンなんですね。
ご存じない方のために、ジャック・タチのキャリアの偉業の数々をご紹介しておきましょう↓
…↑これをご覧になっていただければ、分かる通り、「イリュージョニスト」はアニメ映画ですけど、主人公はまんまタチご本人そのものですよね。
タチの動きや仕草(ちょっとパントマイムっぽい時がある)を完璧にコピーしておりますね。
「イリュージョニスト」の脚本はタチが生前に書き残してた_自分の娘のために書いてた脚本なのだそうです。
タチだから、脚本に言葉がそんなにあるわけじゃないんですよね。
なんとなく人の動きや場面の設定が面白くて、右往左往する人々の姿にほのぼのとした気分になったりユーモアを感じたりするのがタチ映画の魅力だと思ってたんですけど…
この「イリュージョニスト」はアニメとしてすごく良く出来てて、背景とか動きとか、もはや美術品みたいで。すごくきれいです。
舞台となった1950年代のパリ、ロンドンのナイトクラブの華やかさ、その一方でろくに電気も来てないようなスコットランドの離島の雰囲気との対比とか、すごくうまく再現できてるんですけど。
…でもそれだけなの…
タチ作品の魅力である、ちょっとした人情の機微とかが…優しい交流とか…実はゼロなんですねこの映画。
なんか見てるうちにしみじみと寂しい気持ちになってきてしまい、そのついでに晩年のタチの映画「プレイタイム」での興行的な失敗とセット設営にかけた莫大な金額の借金に追われて失意のうちにタチが亡くなったこととかも思い出してしまって、ワシはすごく悲しい気分になってきました(´;ω;`)
「これはジャック・タチの死出の旅の映画化だなあ…そんなもん映画化する意味がよくわかんねえ」とまで思いましたよ。
多分、1950年代60年代のちびっこはみんなタチおじさんに誘拐してもらいたかったんですよ。
一緒にさすらって旅を続けて、終わらない夏休みを送るのが夢の一つだったはずなんです。
こんな死出の旅じゃなくて…