山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

レスリー・チャンの思い出

と、言うわけで。今現在、GyaOで無料配信されている見る映画がふんだんにあるので、休みの日は一日中見てますな。
そんな中、チェン・カイコー監督作品の「さらばわが愛 覇王別姫」を見直してて。
改めて見てみると、なんと言うか。荒唐無稽なBL小説が大河ドラマになった!!感がありますが。
その後の主役女形の蝶衣を演じたレスリー・チャンの悲劇もあって。胸に迫るものがあります。

なんたって、蝶衣を演じるレスリーの美しさがねえ。今更びっくりします。
レスリーが亡くなったのが2003年。
「さらばわが愛 覇王別姫」が1993年の映画だから。レスリー・チャン37歳か…

一番最初にレスリー・チャンを知ったのは「チャイニーズ・ゴーストストーリー」(1987年)で、でした。
当時は香港映画がちゃんと劇場公開されてて。ワシはツイ・ハークの大ファンだったので、彼が関わっている映画はチェックして、劇場までよく見に行ってたんですよ。
(「チャイニーズ・ゴーストストーリー」では製作がツイ・ハーク

劇場で見てみたら、この映画、どちゃくそに面白くてねえびっくりしました。
夢と冒険と伝説と幽霊が総登場する映画で、超楽しかったです(それはその後、この映画のLDを買うほどだったんだから察してプリーズ)

そして、この映画での主演のレスリー・チャンがもう、ものすごく可愛くてねえ、ハンサムで「なんて魅力のある俳優さんだろう」と驚いたものでした。
その後、ビデオでリリースされた「男たちの挽歌」を見て。
「うおおお。この映画も面白い!!」と興奮しました(そしてこれにもレスリー・チャンが出ている)

そのワシの香港映画熱はその後もすっかりヒートアップしてしまって、ワシが返還前の香港に二泊三日ででかけしまうという事になるのですが。
それはまた別の話。

その後、ウォン・カーウァイの「欲望の翼」を見たら、「あれっコレにもレスリー出てんじゃん」と驚いて。
すっかり好きな俳優の一人になってたんですね。
そのレスリーが文芸大作に出る。しかも京劇の女形の役らしいと知った時は興奮しましたね。「絶対に似合う!きれいなうちにやってほしい!!」と本気で思いましたもん。

そしてその「さらばわが愛 覇王別姫」の監督、チェン・カイコーはワシは「黄色い大地」で好きになった監督で。
でもその後、「人生は琴の弦のように」を見たら。「あれー??」と首を傾げたものの…
期待半分、駄目だったらどうしようという気分半分で劇場に出かけて。
そして見た「さらばわが愛 覇王別姫」の美しくも恐ろしくも悲しいお話だった事。

美しく舞い踊り歌うレスリー・チャンの美しいこと!男の顔になり嫉妬に醜く歪むときですら美しい!!
運命の逆境にも負けず、京劇の修行を乗り越えて、戦争も、体制の変化も乗り越えて。
50年にも渡り京劇をただひたすらに演じ続け、夢のような虚構と悲しくも残酷な彼の現実の果にやってくるこの結末…

初見当時は「まあ、そうなるしかないよね」という気分で見てた記憶があるのですが。
昨日、改めて見てたら。
「なんでこのタイミングだったんだろう??」と首を傾げてしまいました(^_^;)
映画中では詳しい説明はなかったのでよくわからなかったのですが。
嵐のような戦争と文革による粛清を受けつつの、やっと再び舞台に立てる時勢?となったこのタイミングでこの結末。
「夢に殉じた」てことなんでしょうかねえ…
蝶衣は舞台に生きた人だったってことなんでしょうかねえ…
レスリーは事件当時、「これ以上年を取ることに耐えられない」とか伝えられてましたが…うつ病だったんでしょうねえ(合掌)